1956(昭和31)年から1959年にかけて
東映が制作した
少年探偵団シリーズの全9作が
今年に入ってDVD-BOX化されました。
東映が制作した
少年探偵団シリーズの全9作が
今年に入ってDVD-BOX化されました。
かつてレーザーディスク化され
その際に観ていたものも含め
公開順に観てきましたが
ついに第9作目の
「敵は原子潜航艇」(1959.3.25)を
観終わりました。
本作品は
前後編ではなく
1時間で完結しており
「透明怪人」前後編とともに
Disc4に収録されています。
従来の資料には
ベース・ストーリーを
『海底の魔術師』と
記しているものもありますが
まったくのオリジナル・ストーリーでした。
日本が月ロケット打ち上げに成功すると
国際的な発言力が増し
それを良しとしない某国が
打ち上げを阻むために
原子潜航艇
要するに原子力潜水艦から
ミサイルを発射して
月ロケットを撃墜するというお話。
二十面相は某国の依頼を受けて
それに協力するという役回りです。
もはや国際スパイ団の首領というより
某国の雇われスパイのような感じで
二十面相らしい自由さや独立心は
かけらも見られないのが
ちょっと悲しいですね。
それに、この設定なら
当時は
1957年にソビエト連邦(現ロシア)が
スプートニク1号の打ち上げて
世界初の人工衛星を成功させたことで
いわゆるスプートニク・ショックが起き
米ソ間における宇宙開発競争が
盛んだった頃にあたります。
本映画が公開された頃は
ソ連が月探査ロケットを打ち上げて
1959年1月には月に接近
同年9月には月面衝突に成功
さらに10月には月の裏側の撮影に成功
という具合に成果を上げていました。
一方のアメリカも1959年3月に
月の探査に成功しており
この後、世界初の宇宙有人飛行や
世界初の月面着陸などが
競われていくわけです。
ちなみに
世界初の有人宇宙飛行は
ソ連によって1961年に
世界初の月面着陸は
アメリカによって1969年に
それぞれ実現することになります。
本映画は
そうした時代を背景として
制作されているわけです。
月ロケットの
プロジェクトを指導する小林博士は
なんと明智探偵の助手
ついに第9作目の
「敵は原子潜航艇」(1959.3.25)を
観終わりました。
本作品は
前後編ではなく
1時間で完結しており
「透明怪人」前後編とともに
Disc4に収録されています。
従来の資料には
ベース・ストーリーを
『海底の魔術師』と
記しているものもありますが
まったくのオリジナル・ストーリーでした。
以下、ストーリーの細部に
やや詳しくふれます。
未見の方はご注意ください。
日本が月ロケット打ち上げに成功すると
国際的な発言力が増し
それを良しとしない某国が
打ち上げを阻むために
原子潜航艇
要するに原子力潜水艦から
ミサイルを発射して
月ロケットを撃墜するというお話。
二十面相は某国の依頼を受けて
それに協力するという役回りです。
もはや国際スパイ団の首領というより
某国の雇われスパイのような感じで
二十面相らしい自由さや独立心は
かけらも見られないのが
ちょっと悲しいですね。
それに、この設定なら
二十面相である必要がなく
本作品を最後に
シリーズが作られなくなったのも
むべなるかな
本作品を最後に
シリーズが作られなくなったのも
むべなるかな
という気もします。
当時は
1957年にソビエト連邦(現ロシア)が
スプートニク1号の打ち上げて
世界初の人工衛星を成功させたことで
いわゆるスプートニク・ショックが起き
米ソ間における宇宙開発競争が
盛んだった頃にあたります。
本映画が公開された頃は
ソ連が月探査ロケットを打ち上げて
1959年1月には月に接近
同年9月には月面衝突に成功
さらに10月には月の裏側の撮影に成功
という具合に成果を上げていました。
一方のアメリカも1959年3月に
月の探査に成功しており
この後、世界初の宇宙有人飛行や
世界初の月面着陸などが
競われていくわけです。
ちなみに
世界初の有人宇宙飛行は
ソ連によって1961年に
世界初の月面着陸は
アメリカによって1969年に
それぞれ実現することになります。
本映画は
そうした時代を背景として
制作されているわけです。
月ロケットの
プロジェクトを指導する小林博士は
なんと明智探偵の助手
小林少年の父親で
女性助手のマリ子さんも
そのお姉さんという設定。
原作では身寄りのない小林少年に
女性助手のマリ子さんも
そのお姉さんという設定。
原作では身寄りのない小林少年に
一気に家族ができただけでなく
エリートになってしまいました。( ̄▽ ̄)
エリートになってしまいました。( ̄▽ ̄)
小林少年にはさらに
トモ子という妹までおりまして
名子役スターであり
童謡歌手の
名子役スターであり
童謡歌手の
松島トモ子が演じています。
それもあってか
学校の卒業式で
歌を唱うシーンも挿入されており
これなど、シリーズ5作目の
『二十面相の復讐』(1957)における
バレエ・シーンと
ある意味、双璧をなすでしょう。
二十面相のアジトは
もう完全に
ショッカー基地と化しています(笑)
それもあってか
学校の卒業式で
歌を唱うシーンも挿入されており
これなど、シリーズ5作目の
『二十面相の復讐』(1957)における
バレエ・シーンと
ある意味、双璧をなすでしょう。
二十面相のアジトは
もう完全に
ショッカー基地と化しています(笑)
トモ子を拷問にかける
電気装置なんかも出てきます。
でも、いわゆる「怪人」は
二十面相が変装するものすら
出てきません。
それがちょっと物足りないかなー。
原子潜航艇の乗組員は
英語をベースとした言語で
会話を交わしており
これなども
国際スパイもののノリを感じさせます。
月ロケット撃墜を祝って
乾杯するシーンなど
当時の子どもには
アダルトな雰囲気を感じさせたのかも。
少年探偵団員が
哨戒機に乗り込んで
空から原子潜航艇を探す
なんていうシーンまであります。
それはまあスルーするとしても
哨戒機がミサイルを積んでいて
原子潜航艇を撃破するというのは
現在の視点からすると
突っ込みどころ満載。
まあ、大らかな時代でした( ´(ェ)`)
途中で二十面相の名を騙る
無法者の集団が出てきます。
その集団の頭領が
「片眼」と呼ばれ
仲間内に
空飛小助という
いわゆる小人タレント(芸人)が
加わっていました。
月ロケット撃破作戦という
当時においては現代風の映像に
時代物に出てくるような盗賊集団を
絡めるあたりは
いかにも東映テイスト
と、いいたくなるものの
泥臭さを感じさせなくもなかったり。
もっとも
いかにも二十面相がしそうなことを
二十面相以外の奴らがやるというあたり
当時の観客に意外性を感じさせたかもしれず
演出の仕方によっては
このプロット
後世の語り草に
なっていたかも知れませんけどね。
本映画で明智を演じたのは
本シリーズ3代目となる
「新人」梅宮辰夫。
若いっ!
スマートな美青年で
高畠華宵の挿絵から抜け出てきたような
色気すら感じさせますけど
その魅力が今ひとつ
活かされていないような気がします。
二十面相を演じたのは
本シリーズでは5代目となる
植村謙二郎。
Wikipedia で芸歴を見てみると
『パレットナイフの殺人』(1946、大映)
『氷柱の美女』(1950、大映)など
本作以前の乱歩映画に出演していて
何かと縁があるっぽい。
(『氷柱の美女』は観てるのに
全然気づかなかった……)
さらに驚かされたのは
『ウルトラセブン』で
チブル星人の人間態である
おもちゃ爺さんを演じたり
『帰ってきたウルトラマン』の
「怪獣使いと少年」の回で
メイツ星人の人間態を
演じたりしていること。
特撮ファンにも
何かと縁があるようです。
ところで、冒頭で流れる
「少年探偵団のうた」ですが
『江戸川乱歩映像読本』(2015)でも
苦言が呈されていましたけど
ラスサビの部分
「♪ぼくらは少年探偵団」の「団」を
「だーん」を延ばして歌っています。
これはそれまで流れたものと
明らかにアレンジが違いますね。
後奏を聴くと
小川寛興の間奏アレンジに
よく似ていましたけど
小川版でも
「だーん」と延ばしては
歌わないはずなんですが……
さすが探偵映画だけあって
いろいろと謎を残してくれるもの
といったところでしょうか。( ̄▽ ̄)
