江戸川乱歩は
作家としてデビューする以前に
内外のさまざまな探偵小説を読み漁り
その感想と
各作家について調べたことをまとめた
手書きのノートを作成しています。
それに『奇譚』という題名を付し
友人と古本屋を自営していたとき
10円(今だと1〜2万くらい?)の値札をつけて
店頭に置いておいたそうですが
誰も買い手がつきませんでした。
乱歩のコアなファンなら
ご存知であろう
有名なエピソードですけど
その手製本の『奇譚』が、このたび
乱歩関連の豪華本を出している
藍峯舎という書肆から
原本の全ページの
カラー画像を収めたCD-ROMを付け
まさかまさかの復刻本として
上梓されました。
(藍峯舎、2016.12.25)
写真右が本体で
左はCD-ROMを収めた外箱です。
下の写真がいちばん外側のハコで
上下が抜けたスリーブケース仕様。
これを取ると
下のような内側のハコがあり
この中に
上掲写真の本体とCD-ROMのハコが
収められています。
『奇譚』はこれまでにも
『江戸川乱歩推理文庫』第59巻に
(講談社、1988.5.6)
影印本として収められていますし
『伊賀一筆』という個人誌の
第1号(=創刊 兼 終刊号)に
その一部が翻刻されていますが
全体の活字に起こした復刻は
今回が初めてとなります。
原本は地の文がカタカナで書かれており
上掲『伊賀一筆』では
カタカナのままでの翻刻でした。
今回は
カタカナの原文を
ひらがなで起こしてあるので
これまでの刊本に比べ
かなり読みやすくなっています。
おまけに
乱歩マニアの間では有名な
中相作氏の校閲と註釈付き。
至れり尽くせりとは
まさにこのこと。
こういうものが出版されるという情報を
どこで知ったのか
もう忘れましたけど
これは買わねば
戦前探偵小説マニアとして名がすたる!
というわけで
清水の舞台から飛び下りる覚悟でもって
予約を済ませました。
限定250部の豪華愛蔵本なので
頒価もそれなりにしますけど
戦前探偵小説マニアや研究家はもちろん
江戸川乱歩ファンからの注文が
殺到すると思いましたから
もう即行で注文しましたよ。
22日には届いていたんですけど
もろもろ所用が重なって時間を取られ
ゆっくり中を見たり
読んでいたりする暇がなかったのですが
ようやくひと息ついたので
これからゆっくり味わい
楽しみたいと思います。
時期的にやっぱり
クリスマス・プレゼントですかね。
サンタさんが
持ってきてくれたわけでは
ありませんけど。( ̄▽ ̄)
ちなみに当方の記番(シリアル番号)は
84番でしたけど
やはり購入したという知人に聞いたら
二百何番だかだったそうで
すでに200番を超えた模様。
これってすごいと思いませんか?
やっぱり早目に予約して正解でした。
藍峯舎のHPに
造本仕様と本文の写真が
掲載されていますので
興味がある方は
そちらを御覧ください。