(ビクター エンタテインメント
VICL-430、1993.7.21)
こういうCDを取り上げると
「あきれたぼういず」のことを
説明するところから
始めなくちゃいけないんですが
長くなるので
ライナーの解説にある言葉を借りて
戦前(1937年=昭和12年)に
結成され活躍した
吉本興業の「ジャズ漫才チーム」
というにとどめておきましょう。
当初のメンバーは
川田義雄(後に晴久と改名)
坊屋三郎、芝利英、
益田喜頓の4人。
後に坊屋以下3人が
新興キネマ演芸部に引き抜かれ
そちらで「あきれたぼういず」を結成し
川田の方は古巣の吉本で
ミルク・ブラザースを結成して
それぞれ活躍したとのことです。
本CDには
元祖あきれたぼういずが録音した
5枚のSPレコードの両面すべてと
新興キネマに移った
第2次あきれたぼういずの3作品、
そして川田義雄のソロ2作品に
ミルク・ブラザースの1作品が
収録されています。
レコードのリリースは
1938年=昭和13年から
1940年=昭和15年にかけてのもの。
ミルク・ブラザースの1作品が
有名な(と思うんですけど)
「地球の上に朝がくる」(1940)です。
坊屋三郎は
自分が子どもの頃
よくテレビで目にしたものですが
(『スター隠し芸大会』でやってた
クイントリックスのCMのパロディで
アグネス・チャンと絡んでたような……)
他のメンバーは
益田喜頓の名前を知っているくらい。
それでも
「地球の上に朝がくる」は
ラジオかなにかで
別の演者によるものかもしれませんが
よく聴いた気がするし
さまざまな作品のベースになっている
浪曲のメロディーも
自分が子どものころ
よく流れていたような気がします。
何度もパロディされまくっている
ディック・ミネの持ち歌
「ダイナ」(1934年=昭和9年)も
なぜか知っている(笑)
パロディになっている
浅草オペラのメロディーなども
数年前にCDを通して
親しんだりしましたので
ここに収録されている曲
どれも耳に馴染みがあるというか
普通に楽しめるだけでなく
直接的には知らないのに
懐かしかったりするという
逆転現象も起きたりしてます(笑)
スクラッチノイズも
たまにありますけど
全体的に音質はかなり良くて
ちょっと驚かされました。
音楽集というより
音楽漫談ないし音楽漫才集というべき
本盤を聴きながら思ったのは
替え歌や声帯模写、パロディなどが
次から次へと繰り出されてくるあたり
タモリの名盤
『タモリ3/戦後日本歌謡史』(1981)のノリに
かなり近いなあということでした。
タモリの盤が企画された時
製作者の頭に
あったんじゃないかしらん。
……と思いついただけでも
聴いた価値はありました。
(ホンマかいな w)
こちらのCD
別のCDを探していた時
神保町のディスクユニオンで
見つけました。
一緒に
最近発見され
話題になったらしい
川田義雄こと川田晴久が
美空ひばりと
アメリカで公演したときの録音を
復刻したCDも見つけまして
(日本コロムビア COCP-38151、2013.9.18)
こちらも購入したのは
いうまでもありません。(^_^)
両盤とも
先日読み終った
相倉久人・松村洋の
『相倉久人にきく昭和歌謡史』
(アルテスパブリッシング、2016.9.20)
に言及されていたもので
聴きたいと思っていたところ
たいして間を置かずに見つかって
そのタイミングの良い偶然に
びっくりぽん!
なのでした。