
(Oehms Classics OC-1827、2015)
以前
フィリップ・グラスの
『ソロ・ピアノ』を紹介したとき
「マッド・ラッシュ」の
オルガン・バージョンが聴きたい
と書きましたけど
そのオルガンによる演奏が聴けるのが
今回紹介するCDです。
2枚組みで
1枚はJ・S・バッハの曲のみ
もう1枚がグラスの曲のみという
ちょっと珍しいカップリング。
演奏者は
ラトヴィア出身の
女性オルガニストで
検索してみたところ
「美しすぎる」と
一部で評判のようですね。
バッハの方は
あまりにも有名な
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565 と
パッサカリア ハ短調 BWV541以外は
まあ、あまり耳にする機会のない曲ばかり。
幻想曲 ト長調 BWV572 は
誰かの演奏で聴いたことがあるので
(マリー=クレール・アラン盤かな?)
自分的には、おおっ、という感じ。
前奏曲(プレリューディウム)とフーガ ト長調
BWV541 のフーガも
なんとなく聴き覚えがあるかも。
グラスの方は
「マッド・ラッシュ」の他に
「ダンス」の第4番と第2番
「ミュージック・カントリー・モーション」
歌劇『サチャグラハ』第3幕から
「コンクルージョン」が収録されています。
いかにも大聖堂の響き
という感じの
「ダンス」第4番に続いて
「マッド・ラッシュ」が弾かれるのですが
この曲に入っていきなり音量が下がるので
同じレベルで聴いていると
あれっ? と思うのが難点かなあ。
自分は例によって
MacBook Air で聴いてますが
「マッド・ラッシュ」は
イヤホンで聴くと
なかなかいい感じです。
オープニングは
通奏低音風で
ちょっと
パッサカリア風にも聴こえます。
ミニマリズムの音楽は
持続音を特徴とするものがあり
ちょっと見、ならぬ
ちょっと聴きだと
バロックなテイストが
感じられなくもないわけです。
「コンクルージョン」も
低音部の定旋律上に
メロディーが反復変奏されていく
パッサカリア風の楽曲です。
「ミュージック・カントリー・モーション」は
典型的なミニマリズム音楽ですね。
原題は Music in Contrary Motion なので
日本語タイトルはちょっと誤訳っぽいなあ。
contrary motion は音楽用語で「反進行」
2声部が反対方向に進むことを
意味するようです。
最後の「ダンス」第2番も
これまた大聖堂風に聴かせるので
イヤホンを外して聴くのがベター。
とまあ、このCD
上にも書きましたけど
ちょっとめんどくさいのが
玉に瑕。
ところで
購入して驚いたのは
どうせ輸入盤だからと思っていたので
日本語のライナーなどは期待していなかったところ
輸入・販売元がナクソス・ジャパンだったため
ナクソスの国内流通盤のように
日本語の案内が書かれた
オビ(タスキ)が付いていたこと。
これはちょっとトクした感じで
嬉しかったです。
ですから今回のタイトルは
ナクソス・ジャパンの表記によります。
原題は、ジャケ背だと
Bach | Glass となっていて
ちょっとそっけないのですが
ジャケ表とジャケ裏
そしてライナーに
BACH APKALNA GLASS とありますので
iTunes だと
Bach - Apkalna - Glass
というふうに出たりします。
オルガンは
ドイツのヒンメロート修道院にある
クライス・オルガン。
日本の東京藝術大学や
武蔵野音楽大学、
北海道大学などに収められた
オルガンを制作した
J・クライス社が
修復したものだと思います。
ちょっと検索して調べてみたところ
クライス・オルガンは
ロマンティック(ロマン派的)な音色を
特徴としているようで
そういわれると
そう聴こえるかも(笑)
ロマンティックな音色は
バッハには合わないと
個人的には思いますが
グラスには合うのかな。
「ダンス」の曲調とは
合っている気もしますけど
他の演奏と聴き比べないと
はっきりこれがいいともいえず
こうして課題は
また増えていくのであった……
