6月4日(土)17:05から
NHK で放映された
『サンダーバード ARE GO』
第18話「マックス 北極圏へ出動!」
昨日アップしたような事情で
出かけていたため
録画しといたもので観ました。

以下、内容にふれています。
未見の方はご注意ください。



アバンタイトルは
サンダーバードの全機が
任務を終えて
トレーシーアイランドに
帰ってくるところから始まります。

各収納庫に帰還するシーンが
描かれるカットは
旧シリーズにないのではないか知らん。

ちょっと記憶になく
珍しいと思ったことでした。


1号が出動する時に吹き飛ばした
プールサイドのチェアは
帰還する時も
吹き飛ばされてましたけど
あれもやっぱり
第7話で描かれたように
おばあちゃんが
直すんでしょうか(笑)

帰還する際に
いちばん最後に帰還したやつが
1週間、食事の後片付けをするとか
兄弟間で言ってましたが
だったらプールの椅子を直せよ
とツッコミたくなったり(笑)

ちなみにいちばん最後は
4号に載るゴードンで
バージルが操縦席にいるから
2号が他のメカより遅れて帰還すると
必然的に最後になるというわけ。


帰還してぐったりしている時に
ジョンから出動要請が届きます。

北極圏に
オーロラをエネルギー源にした
発電所があって
オーロラ発電機と呼ばれているが
過剰なエネルギーを放出する
安全装置が稼働せず
大規模な電気爆発を起こす
というのでした。


オーロラを利用した発電が
実現可能なのかどうか分かりませんけど
未来志向があって
SFとしてみても
秀逸なアイデアだと思いました。

もう小説とかで使われているのかな?


ブレインズの計算によると
電気爆発によって
地球の磁極が逆転してしまい
地球滅亡の可能性があるそうで
実に規模が壮大な事故になる
というイメージもすごかったです。

具体的には、とスコットが聞き
農作物が大打撃を受けて
食糧不足に陥る
というふうに説明を補足するあたりの
何かすごいことになるという
イメージだけで終わらせない
脚本の作り込みは
さすがですね。


疲れ切っているアランとゴードンは残して
スコットとバージルが出動。
さらにブレインズの開発したロボット
(メカニカル・アシスタント)
MAX が随行することになります。

日本語の副題は
それに由来しているわけで
いつもの
ゴードンが搭乗するバンク・カットが
MAX が搭乗するカットに変わっており
そういう細かい配慮
というか遊びは
わりと好みです。


今回はスコットが
いつになく焦り気味で
バージルがそれを抑える
という役回りになってました。

その過程で
ビバークしている際に
父を失ったスコットの不安が
吐露されるのが興味深かったです。

父を救えなかった辛さを
救助活動で埋め合わせるスコットや
それに理解を示しつつ
家族も同じくらい大事だろうと言い
無理を強いるスコットを諌めるバージル。

(父親がいなくても)
ぼくらがいるだろうと慰める
バージルの懐の大きさや
兄弟関係に由来する優しさが
最大限の能力を発揮させる
というメッセージが感じられ
それを盛り上げるBGMの効果もあって
印象的でした。

追い詰めなければ能力は発揮できない
というスコットの言葉が
バージルによって諌められるあたりは
偶然にも
どこぞの首相が言い出したという
一億総スポーツ主義への
批判にもなっていますね。


あともう一点、面白かったのは
MAX に対する
スコットやバージルと、ブレインズの
見方の違いが描かれるところ。

当初スコットは MAX に対して
マシンじゃないか
みたいな態度をとっていましたが
バージルは最初から
仲間意識があるように描かれていました。

いろいろと危難を共に乗り越えることで
スコットもバージルに同調したのか
いわゆる
ストックホルム・シンドローム的な心情なのか
MAX のボディを回収できなかったことを
済まなく思っているようでした。

ところがブレインズは
MAX の電子頭脳部にあたる
データチップ(?)を受け取って
これさえあれば復元できる
君たち単なる機械に
入れこみ過ぎじゃないかなあ
とか二人に言う。

単なる機械に過ぎないというのは
スコットが言っていた台詞なのが
最後に効いていますね。

それまで MAX に
語りかけたり心配したりして
同調していたかのようなブレインズが
最後にクールな理系の側面を見せる
という対照の妙と皮肉なユーモアは
いかにもイギリス系のドラマ
という感じでした。

視聴者も MAX に感情移入するよう
ブレインズが開発当初の写真を見て
「君もずいぶん成長したな」と
語りかけるカットを挿入したり
MAX が氷原の亀裂に落ちた際
人間を助けるかのような演出だったり
発電機のてっぺんに
エネルギーレシーバーを取り付ける
最後のミッションにおける MAX を
悲壮感が漂うBGMを流し
ヒーロー的に描いたりしているだけに
よけい作り手の皮肉なユーモアが際立ちます。


ところで
ちょっと必要があり
調べる機会があったのですが
日本のロボット開発は
なるべく人間に似せようとする方向で
進んでいるようでして
癒しをコンセプトとしたロボットも
日本の技術がいちばん進んでいるようですね。

その開発の過程で
ロボットは成長するのか
成長とは何か
という議論も出ています。

今回のエピソードは
ロボットが人間のように
成長するかどうかという点を
スルーしているようでもあるし
そこらへんは
ジュヴナイルだからなのか
あるいは
欧米人の思考の枠組みの問題なのか
よく分かりませんけど
ロボットに人間性を見出そうとする
メンタルのありように対し
一歩引いた感じを示しているあたり
興味深いところです。


今回のサブタイトル
原題は Recharge 。

この言葉の辞書的な意味は
「再充電」のようですが
今回は MAX の機能拡張
あるいはボディのリニューアル
あるいは経験値のアップ
などのニュアンスを
こめているものと思われます。

邦題よりも
クールでカッコいい感じ。


例によって
長文になりましたけど
長文になるほど
いろいろな要素が
ぎっしり詰まっている
ということで
ご容赦ください。

なお、次回の放送は
6月25日(土)の予定だと
エンディングで告知されていました。

所用があって
出かける予定があるので
(イベントじゃなくて仕事ですよw)
また録画で観ることになりそうです。


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