というわけで
前回のつたない説明で
ルソン・ド・テネブレについて
ある程度、理解いただけたという前提で
手持ちのCDを紹介していきます。


先にも書いた通り
小川洋子の小説
『やさしい訴え』(1996)の中に
フランスの宗教声楽曲として
「預言者エレミヤの哀歌」というのが
出てきますけど
これは一般的に
「ルソン・ド・テネブレ」と
いわれています。

小説の感想を書いた
記事の中でも記した通り
作中に出てきたものは
もっとも有名な
フランソワ・クープランのものでは
ないようです。

それでも
よい機会なので聴き直してみようと思い
クープランを演奏したCDは
確か持っていたはずだと
探してみたら
3枚ほど出てきました。

3枚?

自分の念頭にあったのは
1枚だったんですけど(苦笑)


その念頭にあった1枚が
出てきた3枚の中で
もっとも装幀の美しい
元ロックシンガーだった
カウンターテナーの
ジェラーヌ・レーヌをソリストとする
イル・セミナリオ・ムジカーレのCDです。

ジェラール・レーヌほか『テネブレの聖務』
(Harmonic Records H/CD-9140、1991)

マルPが1991年になっていますので
こちらを発行年としましたが
別にマルCが1993年と表示されており
検索してみたら
1993年を発行年とするデータもありました。

どっちなんだよう。(´_`。)

ちなみに録音は1991年5月です。


外装ケースのふた(上掲写真左)は
透明で紙ジャケが写っているわけではなく
ケースに直接プリントされています。

中に入っている
ライナーの表紙(上掲写真右)も
同じデザインですが
ケースのプリントが単色なのに対して
ライナーの方は
黒と赤の2色印刷で
(白と黒、グレーは
 印刷上は1色で済みます)
「T」の字の上の三角形が
赤くなっていて
蠟燭の焔のように見えるあたり
実にスタイリッシュで印象的ですね。

こちらは
以前に当ブログで紹介したことのある
『古楽CD100ガイド』
(国書刊行会、1996)に
紹介されていた1枚であり
そこに載っていたので
買ったものです。


前の記事でも書きましたが
フランソワ・クープランの
『3つのルソン・ド・テネブレ』は
ロンシャン尼僧院の依頼で書かれました。

したがって声楽パートは
ソプラノが想定されていたのですけど
今日の録音では
カウンターテナーないし
コントラルトが代わりを務めることが
多いようだということも
前回書いた通りです。


今回紹介する
イル・セミナリオ・ムジカーレの演奏も
メインの歌唱を務める
ジェラーヌ・レーヌは
カウンターテナーです。

二声部の第3ルソンも
カウンターテナー2人で
歌われています。

カウンターテナーは
御存知の方もいるかと思いますけど
いちおう註釈を入れとくと
男性のファルセット(裏声)です。

伴奏楽器は
クープランのオリジナル譜だと
ヴィオラ・ダ・ガンバとオルガン
第3ルソンではさらに
ヴァイオリンが加わりますが
イル・セミナリオ・ムジカーレの演奏では
第1~第3ルソンの全てにおいて一貫して
バス・ヴァイオリンとテオルボ、
ポジティフ・オルガンが務めてます。

あと本盤では
クープランの3つのルソンの前後に
グレゴリオ聖歌が
ハーモニーで歌われており
当時の聖務の様子を
再現する趣向になっています。


今回、久しぶりに聴き直しましたが
これは、夜中
静かな環境で聴くと
グッとくるものがある名演で
作曲された17世紀当時
これを聴いて涙する聴衆がいた
というエピソードも
むべなるかな、と思わせます。

もっとも
名曲だけに録音も多く
それらと、よく聴き比べている
というわけではないので
他にも名演があるかもしれませんが
声楽曲をあまり聴かない人間としては
これ1枚で充分
という感じなのでした。


にもかかわらず
手持ちのCDから
3枚ほど見つかったのは
本盤が輸入盤しかなく
歌詞が英語とフランス語でしか
載ってないからです。

そこで
日本語の歌詞を知りたいと思って
購入したCDがあるのですが
長くなりましたので
それについてはまた改めて。


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