『奇妙なマザーグースの話』ハコ・オビ
(K Productions Ltd. KP-001A、2015.12.9)

副題「「怖い」「奇妙」な歌で元気になる!?」

上掲写真は
版画付コンサートDVDに版画絵本が付いた
特別BOXの外箱です。


先日のオフ会後に寄った
タワーレコードで見つけました。

その時は買わずに
帰ってからネットで買おう
と思ったのですが
版画絵本付きの特別版か
DVDの単品版か
分かりにくいサイトもあり
結局、紀伊國屋書店のウェブネットで購入。

代引きでの購入って
あまり好きではなかったのですが
背に腹は代えられません。


先週の金曜日に届いて
封を開けて見たら
オビが付いてました。

タワレコの店頭では
オビはなかったように思いますので
こういう付きものが気になる人間としては
ラッキー、とか思ったり。


ヴォーカルと朗読を担当する
波多野睦美は
以前、こちらのブログでも
CDを紹介したことがあります。

西山まりえは
当ブログでは取り上げていませんが
チェンバロ演奏のCDを
何枚か持っています。

ですから
古楽好きの人間にとっては
「この2人がやっているのなら
オーセンティックなマザーグースが
聴けるに違いない!」
と信頼できましたし
かてて加えて
海外ミステリでもお馴染みの
マザーグースときては
買わずには済ませられないわけでして。


1曲目が
イーデン・フィルポッツ
『誰がコマドリを殺したのか?』(1924)
S・S・ヴァン・ダイン
『僧正殺人事件』(1929)
エリザベス・フェラーズ
『私が見たと蠅はいう』(1945)
などなどでお馴染みの
「コマドリを殺したのは誰?」

ある世代の人にとっては
アニメ『パタリロ』(1982-83)の
♪誰が殺したクック・ロビン
でも有名ですね。


3曲目が
アガサ・クリスティーの戯曲
『ねずみとり』(1954)
およびその原型短編でお馴染みの
「盲目の三匹のネズミ」。

こちらはアカペラでの演奏でした。


『鏡の国のアリス』(1871)でお馴染みの
「ハンプティ・ダンプティ」も
歌われています。

ちなみにハコのイラストは
そのハンプティ・ダンプティです。


「ルーシー・ロケット」は
「アルプス一万尺」と同じ旋律で
これにはびっくりしました。


あと、印象的だったのは
「ロンドン橋おっこちた」
London Bridge Is Falling Down の旋律は
19世紀末にアメリカの作曲家
ショーによるものであり
マザーグースのオリジナルは
タイトルも「ロンドン橋が壊れた」
London Bridge Is Broken Down で
旋律もまったく違うということ。

こういうことが
原曲とともに紹介されていくので
波多野睦美と西山まりえによる
レクチャー・コンサート
という印象を受けるステージに
仕上がっています。


途中で使用楽器についての解説もあり
箱形のチェンバロともいえる
ヴァージナルがどういうものかが
よく分かりますし
曲によってはルネサンスハープも
伴奏に使われていますので
そちらの音色も楽しめます。

ちなみに西山まりえは
ルネサンスハープのCDも
出しています。

自分は買っていませんが
というのも
音が小さいのだろうと
思ってたからなんですけど
今回のDVDでは
意外にもよく響いていたので
びっくりでした。


もちろん
ヴァージナルもよく鳴っていて
これはかなり優れものの録音かも
です。

藍川由美の
『翻訳唱歌集「故郷を離るる歌」』
伴奏を担当している
中野振一郎の演奏を
思わせるようなところも
ありました。


びっくりしたのは
ヴァージナルって意外と大きいってこと。

西山まりえが
タッパがないということもありますが
(逆に、波多野睦美が
意外とタッパがあるのにも
びっくりでしたが)
それだけではないでしょう。


ステージでは
加藤リツ子による翻訳と共に
山福朱実による刷り下ろし版画が
スクリーンに映し出されていました。

特別BOXに付いてくる
絵本(下掲写真右)には
そのときの版画と訳詞が使われています。

『奇妙なマザーグースの話』DVD+BOOK

巻末には原文も掲載されてます。

この絵本は
コンサート会場で売られていたのと
同じものではないかと思います。

奥付には
2015年5月とあるだけで
日付けは表示されていませんが
公演があったのは
2015年5月24日なので
その日が発行年月日ということに
なりましょうか。


特典映像には
波多野睦美による
「フェル先生」の朗読も
収録されています。

メロディーがついてないのは残念ですが
本編の方には
「ロンドン橋が落ちる」も
入っていることですし
ディクスン・カーのファンなら
(マザーグース・ミステリ・ファンはなおさら)
ぜひ押さえておきたい1枚と
いえるのではないでしょうか。(^_^)


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