『総特集 坂田靖子』
(河出書房新社、2016.2.28)

河出書房新社は
このところ
三原順陸奥A子など
自分がむかし読んでハマった
少女まんが家のムックを
次々と出してくれてますが
今回の坂田靖子も
実に懐かしい。

というか
いまだに新刊を見かけると買う
描き手の一人です。

今年がデビュー40周年だそうで
40年間、現役でいてくれて
ほんとに嬉しいですね。


初めて坂田靖子の作品を読んだのは
ご他聞に洩れず
『バジル氏の優雅な生活』でしたが
コミックスで読んだのか
雑誌掲載作品を読んだのか
はっきり覚えていません。

ただ
本書収録のロングインタビュー
「坂田靖子の宇宙学[コスモロジー]」でも
言及されている(p.32)
『LaLa(ララ)』1981年10月号に載った
「ウイッシュ・ボーン」は
特に印象に残っています。

当時すでに大学生でしたけど
高校時代の部活動で
同学年だった女子に
これ読んでみてと言って
教えられたのが
「ウイッシュ・ボーン」なのでした。

さっそく買って読みまして
(少女まんが誌を買うことに
抵抗はありませんでした)
そこで描かれている
バジルとレディ・ビクトリアのような関係を
求めているのか、と
しみじみと思ったものでした。

まあ
単にバカ正直だっただけかも
しれません(苦笑)

バジル氏のような
プレイボーイというわけでも
ありませんでしたしね。(^^ゞ


上記のインタビューによれば
「ウイッシュ・ボーン」は
当時ものすごく反響があったそうで
『LaLa』の読者アンケートで
1位になったらしい。

レディ・ビクトリアは確かに
実に魅力的な存在でして
こういうキャラクターには
実は弱いのです。

まあ、そんなきっかけで
バジル氏シリーズにハマりまして
コミックスを揃えた他
それまで出ていた
花とゆめコミックスの坂田作品を
こつこつと古本で
集め始めたのでした。


朝日ソノラマのサンコミックス
ストロベリーシリーズに入った
『闇夜の本』(1983~85)は
出た当時、新刊で読んだかと思いますが
収録作の中でも「浸透圧」に
抱腹絶倒させられた記憶があります。

何年か経って
読み返してみたら
面白いは面白いですけど
さほどでもありませんでした。

きっと読んだ当時
何らかのストレスを抱えていて
笑いに敏感に反応したのでしょう。

その『闇夜の本』の
イメージアルバムが
キングレコードから出ていたことを
今回の本で初めて知りました。

これは欲しいかも。(^^ゞ


上京してから顔を出すようになった
ミステリ系のサークルに
坂田靖子ファンの方がいまして
よく話をしましたけど
かほどさように
坂田靖子の作品には
ミステリの要素が強いというか
『バジル氏の優雅な生活』には
ミステリとして秀逸な作品も
あるのでした。

今回の本に収録されている
ロング・インタビューには
坂田流ミステリ論が語られてて
興味深かったです(p.40)

ミステリ関連では他に
ささやななえこと
その御主人で編集者・ライターの
佐川俊彦へのインタビュー
「坂田靖子と『JUNE』の時代」に
佐川氏が
坂田靖子は「エラリー・クイーンなんか
読んでるに違いない」とと思って
聞いてみると
「よくそう言われるので、
逆に絶対読まないようにしてる」
と言われたという
エピソードが紹介されてます(P.165)

ちなみに
坂田作品を読んで
エラリー・クイーンを連想するなんて
ミステリをよく分かってないなあ、と
ミステリ・フリークな自分なんかは
思ってしまうんですけどね。( ̄▽ ̄)


その他
萩尾望都との対談も載っていますが
萩尾望都が何かというと
金沢の文化への憧れを表出してて
面白いです。

それにしても
金沢出身の少女まんが家って
自分が知ってた以上に多いので
ちょっとびっくりしました。


巻末に載っている
「坂田靖子全600作品リスト」は
圧倒されます。

ちょうど600という
キリ番になるのも
すごいですね。

それより何より
月2回以上発行される雑誌については
ちゃんと日付けまで記されているのが
すごいというか、偉い。

書誌というものを分かってるなあ、と
ちょっと感心してしまいました。

上から目線ですみません。(^^ゞ


ちなみにカバーを外すと
本体がこんなふうになってました。

『総特集 坂田靖子』本体装幀

たぶん坂田靖子の作品から
採ったものだと思いますが
何かは分かりません。f^_^;

それよりも
今まで出た三原順や陸奥A子も
カバーを外すと
こんなふうになってたんだろうか
と、そっちの方が気になってきました。

確認しとかないと。(・・;)


河出書房新社さん
次は、わかつきめぐみの総特集を
出してくれないかなあ。

期待してまーす(笑)


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