
(河出書房新社、20015.4.30)
昨日、仕事先からの帰りに寄った
駅ビルの本屋で見つけました。
見つけた時は眼を疑いました。
なぜ今ごろ、と思って
収録された記事を読んでいたら
今年は歿後20年なのだそうです。
三原順の代表作
『はみだしっ子』シリーズを読んだのは
高校3年生のときか
その1~2年後くらいです。
高校時代は文芸部だったのですが
その部室に
後輩が持ってきていた
花とゆめコミックスがあり
確か第7巻だったと思いますが
それを読んでたちまち
作品世界の虜になりました。
その当時、手に入るかぎりの
コミックスを揃え
三原順作品リストを作り
連載中の作品が
単行本になるたびに買って
むさぼるように、
そして何度も何度も読んでいました。
『はみだしっ子』の連載が終わり
スピンオフ作品である
『ロングアゴー』が刊行され
書下し単行本で『X Day』が出て
遅々として完結しない
『Sons』シリーズにイライラしたり。
自分はモノとしての本が好きな人なので
名言集やらトランプ・ブックやら
関連書は古本屋で探して買いあさり
愛蔵版や文庫版が出ると
書店で見かけるかぎり買ったものですが
なぜかネットでファンと交流したり
ファン活動を追跡したりという考えには
思い至らなかった。
今回の本に収録された記事に
ファンの活動年譜が載っていますが
なぜこれのどこにも
一度も引っ掛からなかったのか
不思議でなりません。
それはともかく本書は
かつて三原順を読んでいた人
今もまだ三原順のファンだという人には
ページの隅から隅まで愛おしくなるような
優れたファン・ブックといえるでしょう。
『花とゆめ』本誌の付録が
網羅されているのも嬉しい。
今となってはすべてお宝で
さすがに『花とゆめ』本誌までは
買わなかった自分にとっては
最良の資料でした。
いろいろと発見もありましたが
藤本由香里の評論
「三原順の倫理」で
『はみだしっ子』のラスト
グレアムがジャックに
あのことを告げたカットの意味が
説得的に論じられていて
(少なくとも自分的には納得できる論でした)
感銘を受けました。
あと、ひこ・田中と土居安子の対談
「『はみだしっ子』と児童文学」で
ある有名な児童文学と
「はみだしっ子」シリーズの
共通点が指摘されていたのは
興味深かったです。
どうしても
懐かしいという感じになってしまい
三原作品が今の自分にどうしても必要
という切実感は
残念ながらありません。
ちょっとくやしい。
短編「Die Engrgie 5.2☆11.8」が
福島の原発事故を予測していた
として注目されていたことも
ぜんぜん気づかなかったくらいだし。
ますますくやしい。
そんな口惜しさの中
久々に
『はみだしっ子』シリーズを
読みなおしてみたくなりました。

●訂正(23:55ごろの)
藤本由香里氏の名前を
「藤本由佳里」と表記してましたので
直しておきました。
この人の本、買ったこともあるのになあ。
ともあれ、ごめんなさい。m(u_u)m