
(EMI Records Ltd/Virgin Classics
50999 087109 2 5、2011.9.5)
ヴァージン・クラシックスから
フランスのピアニスト
アレクサンドル・タロー(1968~ )による
バッハのクラヴィーア協奏曲集が
出ていることに最近気づいて
入手して聴いてみました。
以前、こちらのブログで
アルゲリッチのライブDVDを紹介したときは
何の説明もなしに使いましたが
クラヴィーアというのは
鍵盤楽器のことです。
だから今回の記事のタイトルは
『クラヴィーア協奏曲集』でもいいし
その方がカッコいいと思いますが
そうするとタイトルが2行になっちゃって
見た目が良くないと思ったので
やめました。
まあ、気分ですけどね(苦笑)
ちなみに原盤のタイトルは
J. S. Bach: Keyboard Concertos
です。
アレクサンドル・タローについては
以前、誰かの本で
クープランかラモーを弾いたCDが
推選されていて
それを買って聴いたことがあるので
名前だけは知っていました。
バッハのイタリア協奏曲を弾いたCDも
買って聴いたかもしれませんが
すぐに出てきませんで(汗
で、聴いたは聴いたんですけど
期待したほどではなく
ハマりもせず
しばらくは追っかけてなかったら
今年に入ってゴルトベルク変奏曲のCDが出て
それを検索しているうちに
引っかかってきたのが
チェンバロ協奏曲を弾いた
今回のアルバムでした。
収録されているのは
1台のチェンバロのための協奏曲
第1番 BWV1052、第3番 BWV1054
第5番 BWV1056、第7番 BWV1058 と
4台のチェンバロのための協奏曲 BWV1065
そしてアレッサンドロ・マルチェッロの
オーボエ協奏曲 ニ短調を
バッハがチェンバロ独奏用に編曲した
協奏曲 ハ短調 BWV974を
もとのニ短調に戻して
協奏曲に編曲して弾いたアダージョ
という倒錯的な(笑)ものが
1曲収録されています。
このうち
4台のチェンバロのための協奏曲は
ピアノ演奏の部分をタローが独りで弾いた
多重録音による演奏です。
オーケストラは
ベルナール・ラバディ指揮
ル・ヴィオロン・ドゥ・ロワ。
(「王のヴァイオリン」という意味です)
タワレコのHPに載っている
EMIミュージックジャパンの提供資料では
ピリオド楽器アンサンブルとなっていますけど
モダン楽器をバロックの弓で弾く
というスタイルなので
純粋なピリオド楽器アンサンブルとは
ちょっと違うと思うのですが……
楽譜は
ベーレンライター版(新バッハ全集版)を
使用しているそうです。
以前こちらのブログで紹介した
アルゲリッチのライブDVDでは
チェンバロ協奏曲第1番が演奏されず
物足りない思いをしていたのですが
タローのCDでは
最初に入っていて嬉しいですね。
この第1番に限らず
1台のチェンバロのための協奏曲は
装飾音なのか分散和音なのか
トリルっぽい処理が印象的なのと
通奏低音部なのか並行する旋律が
時おり意外な音が響く感じが面白い。
チェンバロだと
残響音の中に埋もれそうな音が
ピアノだけに目立つ感じ
とでもいいましょうか。
ちょっと
誰かのチェンバロ演奏盤と聴き比べて
確認してみたくなったことでした。
基本的にチェンバロ協奏曲は
チェンバロ演奏で聴きたい
と思う人間ですけど
先般、アルゲリッチのライブDVDを観て
ピアノによるチェンバロ協奏曲も
ちょっといいかも
と思うようになりました。
それで今回のCDも
聴いてみようと思ったわけですが
1台のチェンバロのための協奏曲に関しては
そこそこ満足できました。
それに対して
4台のチェンバロのための協奏曲は
アルゲリッチと仲間たちの演奏に比べると
微温的な気がしました。
まとまり過ぎとでもいうのか
各声部がセッションのようにやりとりをする
という感じが薄れて
全体できれいにまとまろうとしているようで
のっぺりした印象を受けてしまいました。
4代で弾いている感じがしないとでもいうか。
4代のピアノを用意するよりも
1台のピアノで多重録音するほうが
音を調えやすい
というようなことが
ライナーのインタビューで言われてますけど
上記した通りで
これはタローの計算違いのような気がします。
違った個性がしのぎを削る
あるいは対話するというノリが
曲の疾走感や軽快さに
つながっているのではないか
という気がするんですけどね。
ちなみに
本CDに収録されている
1台のチェンバロのための協奏曲は
なんだか奇数番号を
選んだような感じですが
これみんな基本的に
原曲、あるいは原曲とされているのが
ヴァイオリン協奏曲だったりします。
(第二楽章のみオーボエ協奏曲
というのもありますが)
ライナーに載っている
タローのインタビューによれば
ライブでやってみて反応が良かったのが
今回選んだ各曲だったとのことですが
ヴァイオリンの音形ないし旋律が
ピアノに合っているのかも
とか思ったり。
どういう形でかは分かりませんが
ヤマハが絡んでいるようです。
でも今のところ
日本発売仕様盤は
出ていないようですね。
聴いてみたいと思う方は
輸入盤しかありませんので
ご了承くださいませ。
おまけ。
ピアノに座るタローさん(笑)

ジャケを開いた内側の写真でございます。
