
(ユニヴァーサル ミュージック
UCCD-4826/31、2013.10.9)
『イ・ムジチの《四季》』という
6枚組みのBOXを買って聴いた
という記事の最終回です。

(写真左:CD5、写真右:CD6)
5枚目(1988年録音)の
ヴァイオリン・ソロは
フェデリコ・アゴスティーニ。
この辺から
まったく知らない世界になります。
知らないというのは
古楽器演奏のCDばかり買っていたので
モダン楽器の演奏者は把握してない
という意味ですけど。
1988年録音盤は
通奏低音にオルガンを使っているのが珍しい。
(ポジティフ・オルガン?)
というか
イ・ムジチって
そういうこともやってたんですね。
なぜ、オルガンを通奏低音楽器にしたのか
最初のリリース時には
ライナーで説明されてたんでしょうか。
そこらへん分かりませんが
今回のBOXのライナーでは
オルガンにしたという事実を記し
「秋」の第2楽章で
「幻想的なムードを演出する」
といっているだけで
他には何の説明もありません。
(執筆は柴田克彦)
ちなみに「秋」の第2楽章
いきなり音のレベルが落ちる(小さくなる)ので
幻想的かもしれないけど
バランス的にどうかなあと
個人的には思います。
あと、この5枚目から
最初からCDでのリリースだと思いますが
前にも書きましたけど
それを紙ジャケ仕様で復刻って
あまり意味がないような気も……(苦笑)
それはそれとして
ジャケット上部の
赤いオビのあたりなどは
いかにもフィリップスな感じ。
自分がよく買っていた頃の
ジャケットのデザインは
この赤いオビが必ずありました。
今もそうなのかな?
6枚目(1995年録音)は
通奏低音のオルガンはそのままに
チェンバロも加わっているようですが
更にリュートが加わります。
しかも
そのリュート奏者が日本人
(野入志津子という方)だという
ある意味、異色盤。
例によって
どうしてそういう編成にしたのか
という説明は
BOXのライナーには書いてありません。
もし最初のリリース時に
オリジナルのライナー原文や
日本語ライナーに書かれていたのだとしたら
それを紹介しないのは
こういうBOXのライナーとして
どうかと個人的には思いますけどね。
書かれていないのだとしても
書かれていないことを
説明しておいてほしかったです。
6枚目のヴァイオリン・ソロは
マリアーナ・シルブという
ルーマニア生まれの女性で
イ・ムジチ初の
イタリア人以外のコンマスなのだとか。
「冬」の第一楽章は
かなり狂気をはらんでいる感じでした。
チェンバリストとして
フランチェスコ・ブッカレッラ
という名前が
クレジットされています。
あえてクレジットされるのは
イ・ムジチのメンバーではなく
ゲストだからだと思います。
さくっと聴いてみた時は
チェンバロの音が聴き取れなかったのですが
イヤホンを付けて聴いてみると
ようやく聞こえてきました。
通奏低音では
同じ楽器が
ずっと出ずっぱりなのではなく
楽章によって変えたりとか
同じ楽章でも激しいパッセージの箇所では
オルガンからチェンバロに変えたりとか
いろいろ工夫しているようです。
『四季』って
BGMの典型のようにも
思われたりするんですが
この録音は
鑑賞に際して
かなり集中力を要求されてる感じ。
集中して聴いた方が
意外な音が聞こえてきて
面白いというか。
こういう通奏低音の処理は
かなり珍しい試みではないか
と思います。
こういうあたりも
異色盤たるゆえんですね。
ただ、上に書いたようなことが
ライナーでは
何にも説明されてません。
そういうライナーって
ほんと、どうなんでしょうね。
ちゃんと仕事してよ、という感じ。
はっきりいって
クラシックのCDの邦語ライナーは
ピンキリでして
自分が最初に
この手のライナーが信用できない
と思ったのはといえば……
……いや、こういう話をし始めると
また長くなりますので(苦笑)
このへんで。
