
(東芝EMI VCJP-68441・42、2002.9.11)
映画のサウンドトラック盤を除き
唯一、日本盤が出た
ヤン・ティルセンのアルバムです。
原題の L'absente というのは
「不在」という意味のようです。
このタイトルからして
なにやら
コンセプト・アルバムっぽいんですが
日本語のライナーでは
特に何もふれられていません。
(執筆は山田蓉子)
ただ今回のライナーは
日本盤だけあって
ありがたいことに
ヴォーカル曲の歌詞の和訳も
ちゃんと付いています。
本盤は
ドラック2の「パレード」と
トラック10「ル・メリディアン」が
リサ・ジャーマノのヴォーカル、
トラック3の「バガテル」が
ドミニク・Aのヴォーカル、
(日本語ライナーではドミニク・Ané と表記)
トラック6の「悲しみの日々」が
ニール・ハノンのヴォーカル、
トラック7の「レシェク」と
トラック11の「コンサート」が
ナタリー・レニエと
ヤン・ティルセンのヴォーカル
という具合に
ヴォーカル曲が多いので
訳詞が付いているのはありがたいですね。
ただし
トラック8「釈明の手紙」は
ヴォーカルが加わっているのに
歌詞が和訳されてません。
何か短い言葉を繰り返しているだけなので
必要ないと思ったものか。
もっともオリジナルのライナーにも
ヴォーカル表示はもとより
歌詞(?)も載ってないので
書きようがなかったのかもしれませんが。
さくっと検索してみても
歌詞は分かりませんでしたが
YouTube に
以前こちらのブログでも
紹介したことのある
SF映画の父
ジョルジュ・メリエスの映像
La Chaise à porteur enchantée(1905)
(英題 The Enchanted Sedan Chair)に
かぶせたものがアップされてましたので
ちょっと埋め込んでおきます。
「SF映画の父」と書きましたが
上に埋め込んだ作品は
ステージ・マジックの風景のようです。
フランス語タイトルの直訳であろう
英語タイトルは
「魔法をかけられた御輿(かご)」
という意味です。
L'absente の日本企画盤は
2枚組み仕様で
Disc 2はライブ音源から
6曲収録されています。
その内の1曲は
「アメリのワルツ」で
他に、『カスカード通り』収録の
「デジャ・ロワン」Déjà loin
が演奏されている以外は
すべて L'absente 収録曲です。
器楽曲としては
『アメリ』に使われた
「プラットホームで」の他
ピアノ独奏曲の
トラック4「ラブサント」
ヴィオラ・ソロの無伴奏曲の
トラック9「まだこだわっているの?」
などもあります。
でもやっぱり
トラック5「ル・ジュール・ダヴァン」のように
アコーディオンをまじえた五重奏が
『アメリ』から入った人間としては
ヤン・ティルセンらしいように
感じられます。
「ル・ジュール・ダヴァン」は
『アメリ』で使われても
おかしくないような曲でした。
映画『アメリ』で使われたのは
「悲しみの日々」Les Jours tristes と
「プラットホームで」À quai の2曲で
「悲しみの日々」は
ニール・ハノンが歌う
ヴォーカル・バージョンが
『アメリ』の世界観に合わない
ということらしく
インストゥルメンタル・ヴァージョン
(オフ・ヴォーカル・ヴァージョン)が
使用されました。
その「悲しみの日々」は
幼い頃のアメリが
空想の世界に逃避したことを
説明しているシーンのバックで
流れているような……
違うかな?
ちなみに
このシーンのあとに
金魚の鯨が自殺未遂を犯す
というエピソードが入ります。
「プラットホームにて」は
絵描きのレイモンが
野菜を配達してきたリシュアンに
野菜店主のコリニョンはマヌケ、トンマ
とか言わせている場面のバックで
流れています。
鉄道のシーンで流れているかと思ったら……
いや、探せば
鉄道のシーンで流れてるかもしれないけど
とりあえず気づいたのはそこでした。
で、この「プラットホームにて」の
ミュージック・ビデオが
CD-EXTRA で収録されているのは
前にもふれた通りです。
ところで
『アメリ』が公開されたのは
2001年で
今回のアルバム L'absente も
同年のリリースです。
ほぼ同時進行で作っていたんでしょうか。
だから L'absente から
『アメリ』に使われたというより
『アメリ』に使われた曲を
L'absente に収録した
ということになるのか。
どっちが先なのか
ちょっと気になるところなんですが
そんなの自分だけかな。(^^ゞ
