舞台『おもろい女』のモデル
ミスワカナと玉松一郎の
漫才のレコードが
CD化されていないかなあと思って
Amazon で検索してみたら
こういうのが見つかりました。

『昭和の爆笑王』初代ミスワカナ・玉松一郎ほか
(コロムビアミュージックエンタテインメント
 COCJ-36406、2010.9.29)

『昭和の爆笑王』というシリーズの1枚で
初代ミスワカナと玉松一郎の他
ミスワカサと島ひろしの漫才が
収録されています。

「初代」と付いているのは
ミスワカナを名乗った芸人が
このあと3人、いたからです。


収録されている演目は
「金色夜叉」(1939/昭和14年)
「わらわし隊」(1938)
「全国婦人大会」(1940)
「主人がやかましい」(1938)
の4本。

「わらわし隊」の冒頭では
「わらわし隊の歌」が
ワン・コーラス分、歌われています。

演目の後半は
各地の兵隊の訛りを再現していて
ネタ的には
「全国婦人大会」と
同じパターンだよなあ(苦笑)

舞台では
「金色夜叉」と
「全国婦人大会」が
演じられてましたので
観劇された方は
これがオリジナルか、と
楽しめるのではないしょうか。

もっとも「全国婦人大会」は
舞台で見せていた演目とは
ちょっと違う気がしますし
「金色夜叉」は
映画『お伊勢詣り』の
サントラからの収録だそうで
そのためなのかどうか
最後はフェイドアウトしますけど。

玉松一郎のアコーディオンが聴けるのは
「金色夜叉」くらいなのが残念。

玉松一郎は
水ぶくれで鼻の広がったやつ
と、くさされるのが
パターンだったようです。


ミスワカサと島ひろしは
ライナーによれば
秋田実の宝塚新芸座を中心に
活躍したのだとか。

秋田実といえば
ミスワカナに脚本を提供して
日本一に育て上げようとした
東大出の学士作家として
舞台『おもろい女』に出てたので
(演じたのは田山涼成)
おお、という感じで。

収録演目は
「ワカサの先代萩」(?)
「街頭録音」(1951)
「子供時代」(1952)
「さてその次は」(c. 1971)
の4本。

「ワカサの先代萩」は
ライナーに発表年代が
書かれていないのですが
「ゴジラの孫」という台詞が
出てくるので
1954(昭和29)年以降なのは
明らかです。

公演の録音のようで
お客の笑い声が入っていて
当時の観客に
どこでウケたのかが分かりますし
聴いてても楽しいですね。

「先代萩」で笑いがわき起こるのは
芝居や講談などの伝統芸能を通して
知られていたからでしょうか。

「街頭録音」は
戦後初の漫才のレコードだそうです。

1951(昭和26)年まで
漫才のレコードが出てなかったとは
ちょっと意外でした。

「さてその次は」も公録。
「ワカサと先代萩」に比べると
観客の笑いが(音量が)少なくて
日本人の質[たち]が変わったというか
笑いを貪欲に求めなくても
よくなった時代なのだろうなあ
と思ったりしたことでした。


ミスワカナ・玉松一郎の演目に
時局ネタが多いのは
時代背景を考えれば仕方がないのですが
ミスワカサ・島ひろしの演目には
戦後ということもあり
そういう色合いはまったくありません。

「街頭録音」には
夫婦生活がネタに取入れられ
ちょっとエロティックな要素もあり
そういうところも戦後な感じですね。

ネタ的には
ミスワカナの「わらわし隊」や
「全国婦人大会」と
同じパターンかと思いますが
「主人がやかましい」と聴き比べると
ちょっと面白いですよ。


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