『江戸川乱歩異人館』11
(集英社ヤングジャンプ コミックス
 2015.5.24)

「石榴(ざくろ)」に基づく
「虐男(ぎゃくおとこ)」の続きと
「接吻」に基づく「窃男(せつおとこ)」
「陰獣」に基づく「影男」の
第五回までが収録されています。


「陰獣」が「影男」……( ̄▽ ̄)

乱歩には『影男』という題の
長編小説もあるのですが
そちらをコミカライズするときは
どういうタイトルになるのか知らん。

まあ「陰獣」の場合
キャラの特徴を示すタイトルにすると
場合によっては
ネタバレになりますしね(苦笑)

こちらの影男に相当する
怪奇探偵作歌の大江春泥は
ちょっと
グロテスクに描き過ぎのような
気がします。


「石榴」は
あまり読み返すことのない
また、あまり論じられることのない作品
という印象でしたが
今回コミカライズで読んでみると
いわゆる後期クイーン的問題を
内包している作品であることが
よく分かりました。

よくよく考えてみれば
乱歩の短編・中編には
後期クイーン的問題
すなわち作品の内部では
真実を確定できないという問題
(偽の手がかりを導入すると
どこまでも無限後退するだけ
という問題)に
引っ掛かるものが
案外多いですね。

「石榴」の場合は、いちおう
真犯人が自白するという
体裁をとっていますけど
メタレベルに立てる可能性は
いくらでもあるわけでして。


ま、それは今後の課題と
させていただくことにして
「石榴」や「陰獣」のような
大物に比べると
「接吻」なんてのは
初めてのコミカライズでしょう。

そしてこれが
確認してみたら
意外にも原作通りでして。

確認するために再読に走らせる
というのは
原作の力なのか
コミカライズの力なのか。


次巻も楽しみです。


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