
(windbell wb23、2008.9.17)
ハウシュカの5枚目のアルバムで
ポストクラシカルの最重要盤として
評価された1枚
というふうに紹介されています。
日本盤が出たのも
これが最初ではないでしょうか。
全14曲、収録していますが
トラック13
「BOLZPLATZ(ボルツプラッツ)」と
トラック14
「NACHTWANDERUNG
(ナフトヴァンダウォン)」は
日本盤のみのボーナス・トラック。
ファーンドルフ Ferndorf というのは
ドイツ語で「遠く離れた村」という意味で
それと同時に
プリペアド・ピアノ奏者
フォルカー・ベルテルマンが育った
村の名前だと
ライナーに書いてあります。
そうした村での、ないし
村に対する記憶を
コンセプトにしたアルバム
ということになります。
その後
『異国の風景』(2010)や
『アバンダンド・シティ』(2014)
といったアルバムが
リリーズされたことから判断するに
フォルカー・ベルテルマンは
場所にこだわる傾向が強いようですね。
本盤はその中でも
プライベート感の強いアルバム
ということになりましょうか。
「ALMA(アルマ)」という曲名は
祖母の名前だそうですし。
ハウシュカこと
フォルカー・ベルテルマンは
プリペアド・ピアノの奏者で
独奏でのアルバムを出してましたが
本盤ではチェロ、ヴァイオリン、
トロンボーンが加わって
合奏的な曲が加わりました。
といっても
これ以前のアルバムは持っていないので
オビ(タスキ)の解説の
受け売りですが。f^_^
もともと
ハウシュカというアーティストが
気になった理由は
マイケル・ナイマンみたいだ
と思ったことがきっかけだった
ということは
前にも書きましたが
それだけに
オスティナートを強調した
ミニマルっぽくて
軽快な曲が好きです。
たとえば
「BLUE BICYCLE」
「RODE NULL(オード・ヌル)」
「FREIDBAD(フライバド)」
「SCHONES MADCHEN
(ショネス・メイドヒェン。
OとAにウムラウト記号が付きます)」
あたり。
「BLUE BICYCLE」は
ピアノの低音部で
同じ音を繰り返すのが
風を切って走る自転車の
イメージなんでしょうね。
「RODE NULL」は
実にナイマンっぽいです。
これは中でも特にお気に入りのひとつ。
プリペアド・ピアノの同音反復に
弦楽器が絡んでいって
どんどん音が増える感じがいい。
「SCHONES MADCHEN」は
プリペアド・ピアノによる
オスティナートに
途中から入る
弦の旋律が優美。
ナイマン的というのとは
ちょっと違うけれども。
その他は
プリペアド・ピアノとの弦楽二重奏
という感じの曲と
プリペアド・ピアノ独奏曲とに
分けられると思います。
プリペアド・ピアノとの弦楽二重奏曲は
「MORGENROT(モルゲンロート)」
「FREIDBAD(フライバド)」
「NADELWALD(ナーデルヴァルト)」
「ELTERN(エルタン)」
「ALMA」
「NEUSCHNEE(ノイシュニー)」
「NACHTWANDERUNG」
あたりだろうと思われます。
「MORGENROT」は
ピアノで同じ音が繰り返されるけど
オスティナートに
ピアノの旋律と弦の旋律が絡んで
バロック的な
弦とピアノの二重奏という感じ。
オスティナートでない方の
ピアノの旋律が
実に切ない。
「FREIDBAD」は
冒頭の弦とピアノの絡みから始まりますが
管楽器(トロンボーン)が絡んできてからは
ミニマルっぽくて、好き。
管楽器のポップな感じも良い。
「NADELWALD」は
重厚な弦から始まります。
チェロかな。
夢幻的。
「ELTERN」は
ヴァイオリンの、やっぱり優美な旋律に
プリペアド・ピアノによる
エリック・サティ風の
素朴な音が絡みます。
時計の歯車のような音や
電気的に増幅されたような音は
プリペアド・ピアノの効果でしょうね。
「ALMA」は
あまりプリペアドな感じがしませんし
ピアノが同じ旋律を繰り返しますけど
あまりミニマルな感じはしません。
「NEUSCHNEE」も
プリペアド度はそんなに高くなく
やっぱりサティ風な感じ。
「NACHTWANDERUNG」は
海の上で鴎が鳴いているかのような
弦をこするような音は
プリペアド・ピアノではないかしら。
でも途中から入ってくるのは弦かな。
重厚に始まり重厚なまま終わります。
人によっては幻想的と評するかも。
プリペアド・ピアノ独奏曲は
「BARFUSS DURCH GRAF
(バーフス・ドゥーヒ・グラス)」
「HELMAT(ハイマート)」
「WEEKS OF RAIN」
「BOLZPLATZ」
の4曲だと思います。
「HELMAT」は
ラッパみたいな音もするけど
プリペアド・ピアノのみでの
演奏だと思われます。
メロディーが可憐。
「WEEKS OF RAIN」は
サティ風な感じ。
ちょっと印象的なパッセージがあります。
「BOLZPLATZ」は
弦が入っているような気がするけど
たぶん増幅器ではないかしら。
プクプクって感じの音が面白い。
以前、書いたような事情で
mona records で聴いた曲が
確定できるかと思いましたけど
よく分からなかったり(苦笑)
たぶん最初にあげた
ミニマルっぽい軽快な曲の
どれかだと思うんですが……
ちなみに、iTunes で
トラック名を取得すると
ジャンルが Electronica って
なったりします。
ちょっと違うような気が……
電気的に増幅した音を出してますけど
それはピアノの弦の上に
増幅器を置いたもので
あくまでもプリペアド・ピアノの
一貫だと思うのですけどね。
ポストクラシカルとして
評価されているのなら
ジャンルはやっぱり
Classical でしょうに。
と、重箱の隅をつついておきながら
本ブログのデーマ設定は
「music/classic」ではなく
「music」にしましたけどね。(^^ゞ
