
(WINDBELL four 123-124、2014.3.18)
前回の『異国の風景』を紹介した記事で
ペンギン・カフェ・オーケストラのCDは
ベスト盤しかまだ買えてないけど
ハウシュカはあっという間に揃いました
とか書きましたが
それは日本盤が、ということであります。
日本盤があれば、やっぱり
日本盤を優先して買いたくなりますし。
日本語のライナーが付いてるからね。f^_^
とはいえ、まあ
日本語盤のライナーは
オリジナルのライナーを
翻訳したもの以外は
ほとんど役に立たないと
個人的には思ってますけど。
これについては
語りはじめると長くなるので
閑話休題。
『アバンダンド・シティ』は
自分がハウシュカの国内盤CDを
集め出した時点では
最新のアルバムでした。
前の記事に書いた事情もあり
本盤の曲は使われていないと思いつつ
買った記憶があります。
最初に買ったときは
『異国の風景』のミニマムな感じ
室内楽な感じとは
あまりに違う音楽世界だったので
正直、戸惑いましたし
今イチかなあと思ってました。
この記事を書くために
久しぶりに聴き直したら
ちょっといい感じで(苦笑)
アバンダンド・シティというのは
直訳すると「捨てられた都市」という意味で
いわゆる廃墟です。
本盤に収録されている
曲のタイトルは、基本的に
かつて存在していた実在の都市の名前から
採られているそうです。
ただし、最初の
「ELIZABETH BAY(エリザべス・ベイ)」は
オーストラリアのシドニーにある
高級住宅地で
旧植民地自体の邸宅も
残っている場所のようですが
別に廃墟じゃありません。
観光地のようなので
検索すると簡単に引っ掛かります。
なのに
〈廃墟〉というタイトルの
アルバムの冒頭に置かれると
何らかの批評性を感じさせますけど
エリザベス・ベイのことを
よく知らないので
何ともいえませんのでして。
そういうあたりを
ライナーなんかで説明していただけると
ありがたいと思うんですが……
ちなみに
「ELIZABETH BAY」以外は
ワーグナーの『さまよえるオランダ人』の
「改変」として作曲されたもの
とライナーに書いてありますが
これは間違いだったようです。
windbell のページで訂正されてました。
「ELIZABETH BAY」のみが
『さまよえるオランダ人』の
改変なのだそうです。
『さまよえるオランダ人』自体を
聴いたことがないので
何がどう「改変」なのか
よくは分かりませんけどね。
2曲目の
「PRIPYAT(プリピャチ)」は
チェルノブイリの原発事故で
住民が避難した都市です。
荒涼としたイメージを醸し出す
風が吹いているような音は
どうやってい出しているんだろう。
3曲目の
「THAMES TOWN(テームズ・タウン)」は
中国・上海市松江区のエリアで
住んでいる人はいないようですが
人の姿がないわけではない模様。
観光? で行った人の記事が
検索すると簡単に見つかります。
4曲目の
「WHO LIVED HERE?」は
具体的な場所ではないですね。
でも、かえって
今の自分の住んでいる場所に対して
眼を向けたくなるかもです。
ちなみに
上にリンクを張った
windbell のページや
Public Rhythm というページでの
本盤のレビューに
「ナミビアの鉱山の街」とあり
他の曲名には当てはまらないので
その街の曲なのかな?
5曲目の「AGDAM(アグダム)」は
アゼルバイジャン西南部の町で
ナゴルノ・カラバフ戦争(1988-1992)で
廃墟となったそうです。
途中で入る
手拍子みたいな音が印象的だし
メインのメロディーが
アニメの挿入曲みたいで
割と良いと思ってたんですが
今回、この記事のために検索してみて
廃墟となった背景を知ると
素直に「良い」とはいえない感じで。
手拍子みたいな音は
機銃掃射の音を
模しているのかも知れないと思うと
単純に、カッコいいと
いって済ますわけには
いかないじゃないですか……。
6曲目の
「SANZHI POD CITY
(ザンジー・ポッド・シティ)」は
台湾にある廃墟で
UFO ハウスと呼ばれている
建物の外観は
独特な雰囲気です。
外観は以下のページで見られますが
コメントの言語は
フランス語っぽいので
何が何だかよく分かりません。
http://www.photomonde.fr/sanzhi-pod-city-district-de-sanzhi-taiwan/
やっぱり自動翻訳で訳して
眼を通してみたところ
アメリカ軍関係者のための
休暇村として
建設が始められたそうですが
いろいろと不審な事故が起きたりして
中止になったまま
放置された場所のようです。
2010年に壊されたようですが。
7曲目の「CRACO(クラーコ)」は
イタリアにある
紀元前に成立した街で
廃墟写真を集めた本に載ってました。
群発地震の影響で
地滑りが発生するようになり
人が住むのが困難になり
1960年代初頭に
誰もいなくなったそうです。
映画『007 慰めの報酬』のロケで
使われているのだとか。
8曲目の
「BARKERSVILLE(ベイカーズヴィル)」は
アメリカにある廃墟で
たぶん以下のページで見られる
お屋敷だと思います。
http://beforeitsnews.com/paranormal/2012/01/on-a-small-road-overlooking-a-little-town-called-barkersville-new-york-is-an-abandoned-1631432.html
どういう事情で廃墟になったのか
英語の文章を自動翻訳して
眼を通してみたところでは
ゴールドラッシュ時代からのお屋敷で
のちに結核療養所かなにかになって
その後、映画の撮影かなにかで
事故があったようです。
だから廃墟になったのか
結核療養所が閉鎖になってから
廃墟になったのか
よく分かりません。
9曲目の
「STROMNESS(ストロムネス)」は
サウスジョージア・サウスサンドイッチ諸島の
サウスジョージア島にある
かつてノルウェー人によって
捕鯨基地が作られた場所だそうです。
現在はイギリス領のようですが
かつてはフォークランド戦争で
アルゼンチンと領有権を争った地域です。
ここも観光地なので
日本語のサイトで
どういう場所か、確認できます。
10曲目の
「EL HOTEL DEL SALTO
(エル・オテル・デル・サルト)」は
日本盤のみのボーナス・トラックで
場所はコロンビアにあるホテルです。
川の汚染が原因で閉鎖されたそうですが
川の汚染がどう絡むのか
よく分かりません。
こちらも観光地なので
検索するとすぐに引っ掛かります。
曲の方の「EL HOTEL DEL SALTO」では
「PRIPYAT」同様、やっぱり
風が吹きすさぶような音が聴こえますが
どうやって出してるんだろう?
以上、長々と書いてきましたが
自分がライナーに求めるのは
上に書いてきたようなことを知るための
正確な情報です。
どうやってこういう音を出してるのか
というのは、まあ措くとしても
廃墟名をタイトルにしているのに
世界の廃墟に
必ずしも親しんでいるとはいえない
日本人のリスナーに対して
まったくなんの説明もなしに
純粋に曲だけ聴いてもらうというのは
個人的には、どうかと思います。
「PRIPYAT(プリピャチ)」を
チェルノブイリで廃墟になった場所
と知って聴くのと
知らずに聴くのとは
大違いだと思うのでして。
自分なんて、上にも書いた通り
最初、「AGDAM(アグダム)」を
カッコいい曲だと思ってましたが
機銃掃射を模した音だと考え出すと
そう単純には聴けなくなりましたし。
作曲者のほうが
これくらいは知っているだろう、
知っているべきだと思って創作するのは
まだ許容範囲なんですが。
(それだけ聴き手の知性に
信頼をおいているということですし)
それが許容範囲だったら
ライナーで説明しないのも
許容範囲だろう
と言われそうですが
ライナーが解説だとしたら
解説というのは
受容者の理解を助ける役目を
果たすものではないのかと
思うのですけれど。
あ、でも
楽曲自体は重くありません。
かなりポップ。
だから調べなくても
ただ耳を傾けるだけでも
楽しめます。
自分にしたところで
ブログの記事にしようと
思い立たなければ
調べないまま
カッコいいと思ってたでしょうしね。( ̄▽ ̄)
なお、本盤の日本盤のみ
短い曲が10曲収録された
ボーナス・ディスクが付いていますが
これはアウトテイク集では
ないそうです。
また、ボーナス・ディスク収録曲は
プリペアド・ピアノによる演奏では
ありません。
ふつうのピアノ曲で
むしろ耳慣れた感じなので
オーソドックスなピアノ曲が好きの人には
受け入れられそうですが
個人的には面白味を感じませんでした。
ちなみに、今回のディスクは
紙ジャケ仕様で
オビ(タスキ)は付いておらず
シュリンクの上に
ラベルが貼ってあるだけです。

これは、
自分は日本盤しか知りませんが
その知っている範囲では
『スノーフレイクス・アンド・カーレックス』
(2009)以来だったりします。
プラスティック・ケース盤も
あるのかどうか
寡聞にして知りません。
2枚組ですから
本を開くようにして
開けるようにできてますけど
シュリンクをはがしたくないから
実はまだジャケットの内側を
見ておりません。
写真をアップしたから
これで心置きなくはがせますが
でも、はがさないんだろうなあ(苦笑)
あああ、また長くなってしまった。
これもライナーが充実していないせいです。
(と、人のせいにする f^_^; )
長文深謝。
