NHK-FM で22:45から放送の
オーディオドラマ
青春アドベンチャー
『ニコルの塔』
昨日の月曜日から
いよいよ後半週に入りました。


放送第6回は
原作の第12章のみが
ベースになっています。

お菓子作りのための
針路指定図と一緒に見つけた
文字が刺繍されたリボンをつなぎ合わせて
この世界の秘密を知ったニコルが
世界にかけられた呪いを破るために
シオンが隔離されている
鳥の王の城に向かうまでが
語られました。

いよいよ物語が動き出す
冒険が始まるという感じで
ワクワクさせられました。


タイマー録画しただけで
まだ聴いていないという人も
いるかもしれないので
ニコルがいる世界の秘密の内容は
ここでは伏せておきます。

原作を読んでいたので
しばらく奈央ちゃんの出演は
ないかなあと思っていたら
意外な役で登場。

(ニコルがいる世界の
 秘密を知ってみれば
 意外ではありませんが)

奈央ちゃんの年齢相応ではあっても
役の年齢相応ではない気もしましたが
それはそれとして
なかなか良かったです。


役の年齢相応ということでいえば
初代院長のマグダを演じたのが
江森浩子で
Wikipedia でご本人の年齢を知って
びっくり。

老練だなあ。( ̄ー ̄;)


原作と比べてみると
物語の展開で
微妙に異なる部分がありました。

細かい相違はともかく
以下の部分は
ちょっと引っ掛かりました。


お茶の広間の場面で
あたしもウランガさんを手伝いたい
と言うザザに、ニコルが
「つまみ食いできると思ってるでしょ」
と軽妙に返して
それだけで終ってました。

原作では

「素直な友だちを
 あざむくのはつらい。けれど
 ほんとうのことを話せば、
 ザザまであぶない目にあうだろう」(p.127)

というモノローグが挟まります。

このモノローグがあるかないかで
ニコルというキャラクターのイメージが
変わるような気がしますけど……。


また、ウランガに
お菓子作りをやってみろと言われて
一度、失敗して
二度目に成功する
という場面がありましたが
原作ではすぐに成功するわけではなく
自分に足りないものは何かと考えて
それに気づいて上手くなる
というステップを踏んでいます。

ラジオの方だと

「もっと自分に自信を持ちな。
 自分を信じるんだ。
 (略)
 お前さんは
 自分で思ってるよりずっと賢い。
 良くできる子だよ」

とウランガに言われて
できるようになるというふうに
誉められて伸びるという展開でした。

尺の都合上
そのようになったのかもしれませんが
お菓子作りに必要なものは何なのかを
読者にも考えさせようとする
原作のスタイルも
捨て難いものがあります。


もっとも、原作には
ウランガがニコルを送り出す際

「あたしは、あんたなら
 呪いがやぶれると信じているよ。
 自分の力を信じておいき」(pp.140-141)

と言葉をかけるシーンがあります。

もちろんドラマにも
似たような台詞はあります。

この言葉を踏まえて
ニコルが持つ資質を
聴き手が納得しやすいように
お菓子作りの経験のシーンが
構成されたのかもしれず
単に尺の関係というだけではなく
ラジオの聴き手ということを
考えたうえでのアレンジかもしれません。

そう考えると
ラジオの演出は、それはそれで
いいのかもと思えたりします。


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