前回紹介した
ミステリ・ベストセラーズの第9冊目
メーベル・シーリーの『耳をすます家』には
クェンティン・パトリックの
「深夜の外科病室」が併録されています。

クェンティン・パトリックというのは
こちらのブログでも
何度か紹介したことのある
パトリック・クェンティンの別名義です。
単に引っくり返しただけですけど(笑)
ミステリ・ベストセラーズの第9冊目は
最初、盛光社から
ジュニア・ミステリ・ブックの第9巻として
1966(昭和41)年に刊行されました。
手許にあるのは
ミステリ・ベストセラーズとして
鶴書房盛光社から出たもので
前にも書いた通り
発行年月日は記されていません。
訳者は内田庶(うちだ・ちかし)。
別名を宮田昇といいます。
こちらの本は
中学生の時に買ったものではなく
後年、古本屋(か古本市)で
購入したもので
自分が買ったときは
100円の値が付いてました。
クェンティン・パトリックの
児童向け翻訳は珍しいし
買った当時は
原作が分からなかったのですが
持ってればいつか調べがつくだろう
と思って買っておいたのでした。
安かったしね。(^^ゞ
それから幾星霜
ようやく原作が分かったという次第。
前回の記事から
引っぱるだけ引っぱったので
手っ取り早く原作をあげておくと
『エラリイ クイーンズ ミステリ マガジン』
1961年8月号に載っている
「他人の毒薬」(井上一夫訳)でした。

下が本文のタイトルページ。

原題は Another Man's Poison といって
1940年に発表された中編です。
タイトルはことわざの
One man's meat is another man's poison.
(甲の薬は乙の毒)
に由来します。
ジュニア向けの翻訳が
「深夜の外科病室」という
タイトルになったのは
最初、被害者が飲んだコーヒーに
毒が混入されたと
思われていたのですが
被害者が死ぬ直前に舐めていた
角砂糖に仕込まれていたのではないか
と考えた女性看護師が
使用済みの包帯などを捨てる
外科病室のごみ籠に吐き出した
かじりかけの角砂糖を取りに向ったところ
何者かに襲われる
という場面に由来します。
被害者の外科医が
今まさに手術に取りかかろうとする時
毒に倒れるという冒頭が印象的で
毒の投薬方法が
二転三転するのが読みどころ。
タイトル作品の
メーベル・シーリー
『耳をすます家』(1938)は
1938年に発表された長編で
1962(昭和37)年に
『耳すます家』というタイトルで
『別冊宝石』111号に
邦訳されたものです。

上の雑誌によれば
原作は800枚で
ミステリ・ベストセラーズ版では
それを200枚ほどに縮めてますから
かなりの抄訳になります。
読み比べたことはありませんが
ほとんどあらすじを追うくらいでは
ないでしょうか。
それでも自分が中学生の頃は
ミステリ・ベストセラーズ版しか
出てなかったはずで
読めるだけでも
御の字だったんですけれども。
今ではもちろん
どちらも絶版品切れ。
読めなくなってから
随分と経ってしまいました(しみじみ)

ミステリ・ベストセラーズの第9冊目
メーベル・シーリーの『耳をすます家』には
クェンティン・パトリックの
「深夜の外科病室」が併録されています。

クェンティン・パトリックというのは
こちらのブログでも
何度か紹介したことのある
パトリック・クェンティンの別名義です。
単に引っくり返しただけですけど(笑)
ミステリ・ベストセラーズの第9冊目は
最初、盛光社から
ジュニア・ミステリ・ブックの第9巻として
1966(昭和41)年に刊行されました。
手許にあるのは
ミステリ・ベストセラーズとして
鶴書房盛光社から出たもので
前にも書いた通り
発行年月日は記されていません。
訳者は内田庶(うちだ・ちかし)。
別名を宮田昇といいます。
こちらの本は
中学生の時に買ったものではなく
後年、古本屋(か古本市)で
購入したもので
自分が買ったときは
100円の値が付いてました。
クェンティン・パトリックの
児童向け翻訳は珍しいし
買った当時は
原作が分からなかったのですが
持ってればいつか調べがつくだろう
と思って買っておいたのでした。
安かったしね。(^^ゞ
それから幾星霜
ようやく原作が分かったという次第。
前回の記事から
引っぱるだけ引っぱったので
手っ取り早く原作をあげておくと
『エラリイ クイーンズ ミステリ マガジン』
1961年8月号に載っている
「他人の毒薬」(井上一夫訳)でした。

下が本文のタイトルページ。

原題は Another Man's Poison といって
1940年に発表された中編です。
タイトルはことわざの
One man's meat is another man's poison.
(甲の薬は乙の毒)
に由来します。
ジュニア向けの翻訳が
「深夜の外科病室」という
タイトルになったのは
最初、被害者が飲んだコーヒーに
毒が混入されたと
思われていたのですが
被害者が死ぬ直前に舐めていた
角砂糖に仕込まれていたのではないか
と考えた女性看護師が
使用済みの包帯などを捨てる
外科病室のごみ籠に吐き出した
かじりかけの角砂糖を取りに向ったところ
何者かに襲われる
という場面に由来します。
被害者の外科医が
今まさに手術に取りかかろうとする時
毒に倒れるという冒頭が印象的で
毒の投薬方法が
二転三転するのが読みどころ。
タイトル作品の
メーベル・シーリー
『耳をすます家』(1938)は
1938年に発表された長編で
1962(昭和37)年に
『耳すます家』というタイトルで
『別冊宝石』111号に
邦訳されたものです。

上の雑誌によれば
原作は800枚で
ミステリ・ベストセラーズ版では
それを200枚ほどに縮めてますから
かなりの抄訳になります。
読み比べたことはありませんが
ほとんどあらすじを追うくらいでは
ないでしょうか。
それでも自分が中学生の頃は
ミステリ・ベストセラーズ版しか
出てなかったはずで
読めるだけでも
御の字だったんですけれども。
今ではもちろん
どちらも絶版品切れ。
読めなくなってから
随分と経ってしまいました(しみじみ)
