先にご紹介の、北村薫のエッセイ集
『書かずにはいられない』(2014)に
収録されている一編です。
初出は、岩波書店のPR誌
『図書』2002年12月号。
『幻想小説大全 鳥獣虫魚』
(北宋社、2002)という
アンソロジーに入っている
ラテン・アメリカ文学の作家
オラシオ・キローガの
「羽根枕」を読んで
「イメージの恐ろしさ。そして、
淡々と書かれた結びの三行。
実に嫌でした。」(p.163)
という感想を持ったそうです。
どれくらい嫌かというと
コピーをとって某氏にファックスし
「嫌さのおすそ分け」を
したくらいだそうです。
某氏からは
羽根枕どころか蕎麦殻の枕でも
寝たくなくなった
という感想が届いたそうです(笑)
というわけで
「羽根枕」の「嫌さ」が
印象的だった北村さんは
キローガの別の作品が気になり
探索が始めます。
いやあ、こんなふうに紹介されると
「羽根枕」が読みたくなるじゃないか
とか思いますよね、やっぱり。
気になりつつも、自分
『幻想小説大全 鳥獣虫魚』を
持ってないので
そのままエッセイを
読みつづけたことでした。
北村さんが
キローガを探索する過程であげている
『ラテンアメリカ怪談集』
(河出文庫、1990)も
『美しい水死人
ラテンアメリカ文学アンソロジー』
(福武文庫、1995)も、
自分が買ってても
おかしくない本にも関わらず
持っていません。
特に後者には「羽根枕」が
入っているということなので
ちょっとくやしい。
ちなみに、福武文庫のアンソロジーに
「羽根枕」が入っていたことを
北村さんも気づかなかったのですが
それに気づいた時の感想が、いい。
「この本は確かに買ってあった。
そのまま、
どこかに隠れてしまった本です。
きっと、《キローガには
北宋社のアンソロジーで
出会うものだ》と、
決まっていたのでしょう」(p.164)
こういう考え方、いいですね。
だから福武文庫の方を買うのは
無駄であった、と
なってないのが、いいわけです。
で、福武文庫の次にあがっているのが
雑誌『小説幻妖』の創刊号でした。
そこでキローガの小特集が
組まれていたのだそうです。
でも北村さんは
この雑誌が出たとき
店頭で見ていながら
買わなかったのだとか。
なぜ買わなかったのか
その理由が
本好きならではという感じで
ニヤニヤさせられますが
ここでは省略します。
気になる方は
『書かずにはいられない』に
直接あたってください。
(初出の『図書』でもいいですけど)
そういうことを
娘さんにネットで調べてもらったあと
(ご本人はネットをやらないそうで)
北村さんは書店へ探索に出ます。
それを
「子供が昆虫採集に行くような気分」
(p.165)と譬えているのが
また、いいですね。
ここらへんの気持ちはよく分かります。
北村さんは
インターネットをやってないので
そうなるわけですが
自分も、ネットよりはまず書店で
と思い立つタイプです。
すぐに手に取りたいというのがひとつ。
あとひとつは
書店で簡単に見つかると考える自分が
「昆虫採集」の通っぽいからです。
これぞ、本好きの自己矜持。
まあ、それに酔っているだけだと
思いますけどね。( ̄▽ ̄)
「昆虫採集」に出かけた北村さん、
『小説幻妖』は第2号は見つけたけど
肝腎の創刊号が見つからない。
これもよくあることです。
その代わり
『ラテンアメリカ短編集』
(彩流社、2006)というのを見かけて
期待せずに目次を見てみると
そこに、キローガではなく
キロガと表記されて
短編がいくつか
入っていることが分かりました。
これは実際に本屋に行くからこそ
分かることであります。
だから本屋に行くのは楽しい。
そのあと『小説幻妖』の2号も
評論家の某氏に見せてもらうことができた
というふうに続くのですが
ここまで読んで、うっふっふと
笑いが止まらない気分でした。
『小説幻妖』という誌名が出てきた時点で
うふふ、という含み笑いが
止まらない状態だったのですけどね。
(気持ち悪い【苦笑】)
というのも、実は
ここでふれられている『小説幻妖』、
創刊号も第2号も
自分の書架にあるからなのです。
この手の
本についてのエッセイを読んでいて
嬉しくてニヤニヤするのは
こんなときですね。
まことに軽薄で、申し訳ないこってす。(^^ゞ
こちら↓が『小説幻妖』創刊号の表紙。

(幻想文学会出版局、1986.2.25)
ちょっと不気味な感じもする表紙は
ベルギーの画家
フェルナン・クノップフの
「銀のティアラ」(1911)から
とられています。
というわけで
『幻想小説大全 鳥獣虫魚』も
福武文庫の『美しい水死人』も
持ってなかったけど
「羽根枕」を読むことができました。
感想は、「羽根まくら」より
(『小説幻妖』の訳は上の表記です)
同時収録の「野性の蜜」の方が
印象的だった
と記すにとどめておきます。
北村さんはエッセイの最後に
「ラテンアメリカ短編文学の祖の、
一冊の傑作集を、
どこかで出してくれることを
切望します」(p.167)
と書いてますが
この「切望」に応えたのかどうか
2012年に国書刊行会から
キローガの作品集が出ました。
野性の蜜: キローガ短編集成/国書刊行会

¥3,672
「羽根枕」も「野性の蜜」も
収録されていますので
気になった方は
ちょっとお高いですが
(『幻想小説大全 鳥獣虫魚』よりは
安いんですよ、これでもw)
買ってみてはどうでしょう。
自分もちょっと欲しくなりました。(^^ゞ

『書かずにはいられない』(2014)に
収録されている一編です。
初出は、岩波書店のPR誌
『図書』2002年12月号。
『幻想小説大全 鳥獣虫魚』
(北宋社、2002)という
アンソロジーに入っている
ラテン・アメリカ文学の作家
オラシオ・キローガの
「羽根枕」を読んで
「イメージの恐ろしさ。そして、
淡々と書かれた結びの三行。
実に嫌でした。」(p.163)
という感想を持ったそうです。
どれくらい嫌かというと
コピーをとって某氏にファックスし
「嫌さのおすそ分け」を
したくらいだそうです。
某氏からは
羽根枕どころか蕎麦殻の枕でも
寝たくなくなった
という感想が届いたそうです(笑)
というわけで
「羽根枕」の「嫌さ」が
印象的だった北村さんは
キローガの別の作品が気になり
探索が始めます。
いやあ、こんなふうに紹介されると
「羽根枕」が読みたくなるじゃないか
とか思いますよね、やっぱり。
気になりつつも、自分
『幻想小説大全 鳥獣虫魚』を
持ってないので
そのままエッセイを
読みつづけたことでした。
北村さんが
キローガを探索する過程であげている
『ラテンアメリカ怪談集』
(河出文庫、1990)も
『美しい水死人
ラテンアメリカ文学アンソロジー』
(福武文庫、1995)も、
自分が買ってても
おかしくない本にも関わらず
持っていません。
特に後者には「羽根枕」が
入っているということなので
ちょっとくやしい。
ちなみに、福武文庫のアンソロジーに
「羽根枕」が入っていたことを
北村さんも気づかなかったのですが
それに気づいた時の感想が、いい。
「この本は確かに買ってあった。
そのまま、
どこかに隠れてしまった本です。
きっと、《キローガには
北宋社のアンソロジーで
出会うものだ》と、
決まっていたのでしょう」(p.164)
こういう考え方、いいですね。
だから福武文庫の方を買うのは
無駄であった、と
なってないのが、いいわけです。
で、福武文庫の次にあがっているのが
雑誌『小説幻妖』の創刊号でした。
そこでキローガの小特集が
組まれていたのだそうです。
でも北村さんは
この雑誌が出たとき
店頭で見ていながら
買わなかったのだとか。
なぜ買わなかったのか
その理由が
本好きならではという感じで
ニヤニヤさせられますが
ここでは省略します。
気になる方は
『書かずにはいられない』に
直接あたってください。
(初出の『図書』でもいいですけど)
そういうことを
娘さんにネットで調べてもらったあと
(ご本人はネットをやらないそうで)
北村さんは書店へ探索に出ます。
それを
「子供が昆虫採集に行くような気分」
(p.165)と譬えているのが
また、いいですね。
ここらへんの気持ちはよく分かります。
北村さんは
インターネットをやってないので
そうなるわけですが
自分も、ネットよりはまず書店で
と思い立つタイプです。
すぐに手に取りたいというのがひとつ。
あとひとつは
書店で簡単に見つかると考える自分が
「昆虫採集」の通っぽいからです。
これぞ、本好きの自己矜持。
まあ、それに酔っているだけだと
思いますけどね。( ̄▽ ̄)
「昆虫採集」に出かけた北村さん、
『小説幻妖』は第2号は見つけたけど
肝腎の創刊号が見つからない。
これもよくあることです。
その代わり
『ラテンアメリカ短編集』
(彩流社、2006)というのを見かけて
期待せずに目次を見てみると
そこに、キローガではなく
キロガと表記されて
短編がいくつか
入っていることが分かりました。
これは実際に本屋に行くからこそ
分かることであります。
だから本屋に行くのは楽しい。
そのあと『小説幻妖』の2号も
評論家の某氏に見せてもらうことができた
というふうに続くのですが
ここまで読んで、うっふっふと
笑いが止まらない気分でした。
『小説幻妖』という誌名が出てきた時点で
うふふ、という含み笑いが
止まらない状態だったのですけどね。
(気持ち悪い【苦笑】)
というのも、実は
ここでふれられている『小説幻妖』、
創刊号も第2号も
自分の書架にあるからなのです。
この手の
本についてのエッセイを読んでいて
嬉しくてニヤニヤするのは
こんなときですね。
まことに軽薄で、申し訳ないこってす。(^^ゞ
こちら↓が『小説幻妖』創刊号の表紙。

(幻想文学会出版局、1986.2.25)
ちょっと不気味な感じもする表紙は
ベルギーの画家
フェルナン・クノップフの
「銀のティアラ」(1911)から
とられています。
というわけで
『幻想小説大全 鳥獣虫魚』も
福武文庫の『美しい水死人』も
持ってなかったけど
「羽根枕」を読むことができました。
感想は、「羽根まくら」より
(『小説幻妖』の訳は上の表記です)
同時収録の「野性の蜜」の方が
印象的だった
と記すにとどめておきます。
北村さんはエッセイの最後に
「ラテンアメリカ短編文学の祖の、
一冊の傑作集を、
どこかで出してくれることを
切望します」(p.167)
と書いてますが
この「切望」に応えたのかどうか
2012年に国書刊行会から
キローガの作品集が出ました。
野性の蜜: キローガ短編集成/国書刊行会

¥3,672
「羽根枕」も「野性の蜜」も
収録されていますので
気になった方は
ちょっとお高いですが
(『幻想小説大全 鳥獣虫魚』よりは
安いんですよ、これでもw)
買ってみてはどうでしょう。
自分もちょっと欲しくなりました。(^^ゞ
