
(日本放送出版協会、1974年12月10日発行)
表紙は玉梓(たまずさ)が怨霊。
手許にあるのは
1975年2月20日発行の
第7刷です。
こちらも現在は
復刊ドットコムから再刊されて
購入することができます。
新八犬伝〈中の巻〉 (fukkan.com)/復刊ドットコム

¥3,024
こちらも表紙は玉梓ですね。
中の巻は
犬川額蔵・犬田小文吾が
不思議な珠の霊験で
辛くも窮地を脱したあと
お話はすぐに変わって
犬塚信乃が海賊に売られた
中国人の娘を助け
明の国まで送り届けた帰り道
嵐に遭って琉球に流れ着き
琉球王室の内紛に関わる
という原作にはないエピソードを真ん中に
それと並行して
犬村角太郎が初登場するエピソードや
犬坂毛野の虎退治のエピソードなどが描かれ
最終的には諏訪湖に竜が現れる話の顛末まで
全36章分
放送でいうと300回までが
収録されています。
犬塚信乃が琉球
すなわち現在の沖縄で活躍する
というのは原作にはなく
『八犬伝』の原作者・馬琴の書いた
『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』に
基づくものです。
こちらも、偕成社から
〈少年少女世界の名作〉第53巻として
福田清人によるリライト版が
出ていましたが
放送当時、『弓張月』に基づくなんて
知ってもいませんでしたから
買ってないし読んでもいません。(´・ω・`)
先にご案内の
『NHK連続人形劇のすべて』で
当時のストーリーの流れを見てみると
犬塚信乃の海賊退治の前に
犬山道節が
後に許嫁となる重戸(おもと)と
知り合うエピソードがあるのですが
(放送では第131~135回)
ノヴェライズの方では
なぜか省略されています。
そのため次の、下の巻で
いきなり重戸が出てきて
ちょっと唐突な感は否めないのが残念。
その他にも
ちょいちょい省略があって
たとえば琉球に流れ着いた信乃が
侠盗・運玉ノ義留(うんたまのぎる)と
知り合う場面は
地の文の説明で済ませられてます。
なお、上にも書いた
諏訪湖に竜が現れるエピソードですが
これは1970年のアメリカ映画
『シャーロック・ホームズの冒険』の
アイデアを
いただいているのではないか、と。
詳しいことは書けませんが
映画の題名を聞けば、ああ、あれね
と思う人もいるのではないかと思います。
放送当時、これに気づいていたかどうか
ちょっと記憶にありません。
ノヴェライズにあたる
『シャーロック・ホームズの優雅な生活』が
創元推理文庫から出たのが
1974年7月。
その前にテレビの洋画劇場でやったのを
観た記憶がありますが
それがいつなのかは覚えていません。
まあ、そもそも馬琴の『八犬伝』が
『水滸伝』のプロットをいただいてますし
『新八犬伝』では
『弓張月』のストーリーも
混ぜこんだりしているので
割と大らかな気持ちで
いただいたのかもしれませんけど(苦笑)
で、この中の巻にも
挟み込みの付録がついていました。
1枚のペラなので
ページの間に挟まっていて
これは今回読むまで気づかなかったです。

記事は「中の巻を読まれる前に」という
無署名の、上の巻の荒筋紹介が
載っているだけなので
モノクロ・スチールはあるものの
あまり資料的価値はない感じ。
他に、この本用のしおりがついていて
こちらは「夕焼けの空」の
歌詞が載っていたりして
当時の読者にとっては
ちょっとトクした感じだったかも。
最後におまけ。
中の巻のカバーを外して広げると
下のようになります。

玉梓は他の人形に比べて大きいので
カバーいっぱいの写真だと
迫力がありますね。
というわけで
以下、下の巻に続きます。(^_^)/
