
(ポプラ文庫ピュアフル、2013年7月5日発行)
第1回日本児童文学者協会
長編児童文学新人賞・佳作受賞作で
親本は2003年10月に
小峰書店から刊行されました。
読書好きの小学五年生
茅野しおりを主人公とする連作ミステリで
地元の公立図書館が関わる事件を描いた
いわゆる〈日常の謎〉系の作品です。
親本に収録されていた全五編に加えて
番外編として書下しが一編収録された
おトク版になっています。
オビにも書いてあるように
北村薫が『ミステリ十二か月』(2004)で
取りあげた作品ですが
『ミステリ十二か月』を
読んでいるにもかかわらず
こんな本を取りあげていたっけと
すっかり忘れておりました。(^^ゞ
ジャケットのイラストもいいし
そもそもポプラ文庫ピュアフルの装幀は
嫌いではないので
店頭で見て、ふらっと購った次第です。
もともと児童文学の賞に応募した作品だけあって
謎自体はさほどエッジが
利いているわけでもありませんが
〈日常の謎〉系の作品が好きで
図書館が好きな人なら
満足する出来映えかと思います。
基本的に善人しか出てきませんので
そういうヌルい話はイヤだ
という人には、お勧めしませんが。
自分が好きなのは
謎という観点からだと
第1話「わたしの本」ですかね。
意外性という観点からだと
番外編の「雨の日も図書館へいこう」です。
図書館で子どもが騒いでいても
平気な親に対する皮肉が描かれている
という観点だと
第5話「エピローグはプロローグ」が
印象に残りました。
この第5話は、上記の点で
ちょっと『Papa told me』っぽい
テイストもありました。
この9月には続編の
『晴れた日は図書館へいこう
ちょっとした奇跡』というのも出ます。
ちょっとした楽しみだったり。