
(講談社ノベルス、2013年4月3日発行)
何とも不思議な本が出たという感じ。
観客参加型の推理ゲーム・イベント
「ミステリーナイト」の
昨年8月に開かれた25周年企画の
推理舞台劇のノベライズと
当日のイベントの流れをレポートした記事、
そして綾辻行人インタビューと
綾辻行人・有栖川有栖の対談、
「ミステリーナイト」仕掛人の
城島和加乃・かとうだいの対談を収めています。
舞台劇「綾辻行人殺人事件 主たちの館」の
ノベライズを担当したのは
メフィスト賞作家でミステリ作家の
天祢涼(あまね・りょう)です。
推理ゲームの舞台劇中に
本当の殺人事件が起きてしまう
という劇中劇スタイルのプロットで
密室トリックやダイイング・メッセージなど
本格ミステリのガジェットが盛り込まれていて
いわゆる読者への挑戦もあります。
密室トリックは
トリックそのものよりも
伏線(手掛り)の塩梅が見事
という印象でした。
イベントでは読者への挑戦までを演じて
観客からの質疑応答を受け
さらにはイベントを開催するホテルに
様々な手掛りを散りばめ
電話での質問コーナーまでもあるようです。
こうした参加型の推理イベントに
400名前後の参加者がいて
リピーターもいるということですから
ちょっとびっくり。
自分は、読者への挑戦状があるミステリは
嫌いではありませんが
実際に考えずに、直感で見当をつけて
さっさと解決編を読んでしまう人間なので
実際にイベントに参加して
謎解きを楽しむ人には、素直に脱帽します。
仕掛人の対談では
このイベントに参加して
綾辻行人の小説を読もうと思った
という人もいたことが紹介されてますので
必ずしもミステリ小説のファンばかりとは
限らないことが分かります。
謎解きすることを好む人たちと
謎解きの小説を好む人たちとは
違う場合もあるということでしょうか。
綾辻行人と有栖川有栖の対談では
小説の場合は
フェア・プレイは意識していても
ほとんどの読者は解けないだろうな
と思って書いているし
それは仕方のないことと思っているけれど
イベントの場合はある程度
解けるようにしないと
お客さんが楽しめないから
解けるようにシナリオを書く、という具合に
創作とリアルイベントの違いが指摘されていて
たいへん興味深かったですね。
その他に、手掛りをめぐる話なども
興味深く読ませていただきました。
で、この本、上にも書いたとおり
4月3日が初版発行なのですが
4月23日発行の第二刷が
もう店頭に出回っています。
20日で再版って
ありえないと思うんですけど……
こういう本が出ていることを
日曜日に教えてもらって
近所の本屋で見かけた時は
すでに二刷。Orz
本日、ちょうど
神保町に行く用事があったので
三省堂書店で初版を見つけて
購った次第です。
まあ、謎解き好きとか
そういうこととは
まったく関係のない
こだわりではありますが(苦笑)
何はともあれ
見つかって良かったよ( ̄▽ ̄)=3