昨日は、縁あって
オーストリア大使館で開かれた
オーストリアのミステリ作家
アンドレアス・グルーバー氏を囲む
トークの集いに行ってきました。


オーストリア大使館は
麻布・暗闇坂の途中にありまして
その暗闇坂という道標を見た時に
おおっ! と感動したものでした。

$圏外の日乘-麻布暗闇坂・登り口

日本の本格ミステリ・ファンなら
ピンとくるのではないかと思いますけど
島田荘司の『暗闇坂の人食いの木』を
思い出したからです。

ただし
小説の舞台となったのは
横浜市西区にある方の暗闇坂なので
ぜんぜん違う場所なんですけど
でも、おおっ! と
思いますよねえ(笑)

車の抜け道かなんかになっているようで
やたらタクシーが走り抜けてました。

こちらは坂を登り切った方から撮ったもの。

$圏外の日乘-麻布暗闇坂・下り口

オーストリア大使館を通り過ぎたあたりで
登り口から見て左側に曲がっているので
坂を一直線に見通すことは出来ません。


こちらがオーストリア大使館正門。

$圏外の日乘-オーストリア大使館

トーク会場とレセプションがあったのは
こちらの通用口(?)を入ってすぐのところでした。

$圏外の日乘-オーストリア大使館・通用口

当日のトークでは
翻訳家の酒寄進一さんと
グルーバーさんとのやりとりで
経歴紹介や日本の印象、
オーストリア・ミステリ界の状況、
今回翻訳された『夏を殺す少女』の
テーマをめぐる話と
日墺両国語による朗読、
そして質疑応答という流れでした。

全部をレポートすると長くなるので
以下、興味を引いたところを簡単に。


日本食の話では、
そば湯がべらぼうに美味しかったと言い
国に帰ってから試してみようと思った
とのことでしたが
いや、そばじゃないと無理でしょ
と思ったり(苦笑)

ミステリがらみの話では、
ドイツのミステリは緻密であるのに対し
オーストリアのミステリは
ブラックな性格が強いが
ただ暗鬱・陰鬱であるだけでなく
ブラック・ユーモアを兼ね備えているとか、
ドイツでは
ネレ・ノイハウス Nele Neuhaus など
地域ミステリ、ご当地ものに人気があり、
オーストリアの作家たち、
ヴォルフ・ハース Wolf Haas(翻訳あり)
シュテファン・スルペツキー Stefan Slupetzky
トーマス・ラーン(原綴不詳)なども
ご当地もの的なところがあるけれど
自分はインターナショナルな視点を大事にしたい
といった興味深い話を聞くことができました。

ただ、地域ミステリ、ご当地ものとか
オーストリア・ミステリが兼ね備えている
ブラック・ユーモアといったことは
話を同時通訳で聞いても
こちらが正しく理解しているのかどうか、
ニュアンスが掴めてないのではないか
という思いもあります。

そうしたことは結局
翻訳ででも作品に接することで
ニュアンスとして掴めてくるんでしょうね。

グルーバーさんは今
薬品会社に勤めているそうですが
薬品に詳しい会社の上司に電話すると
「また一人、誰かを殺したいんだね」
と言われた、というようなエピソードが
上で言うブラック・ユーモアに
相当するかもしれません。

ご当地もの、というのは、地元密着型、
いわゆるコージー・ミステリ的なもの
というニュアンスかと思いますけど
翻訳のあるネレ・ノイハウスの
『深い疵』を読んだ記憶でいうと
コージー・ミステリというのとも
ちょっと違う感じ。

来月、ネレ・ノイハウスの新訳が
出るようなので
そちらを読んで考えてみようか
と思ってます。

質疑応答では
オーストリアで知られている日本人作家は
という質問に
村上春樹や『リング』(鈴木光司)の名前が
挙げられてました。

向こうでは、日本の禅の本が
人気があるそうです。

あと、モンスターに関する質問の際に
吸血鬼は怖くないけど
日本のホラー映画に出てくる
小さな髪の長い女の子が怖い
という話をしてました。

それってやっぱり貞子でしょうか?


レセプションの方では
赤白のワインや
グーラッシュ(かな?)
ウィンナー・シュニッツェル
ポテトサラダを堪能しました。

久々に肉を食べた夜でした。
(家では魚がメインなので【苦笑】)


それにしても
旅行者程度の英会話すら
できない自分、
グルーバーさんに
お別れの挨拶すら
ロクにいえなかったのは
振り返るに
なんとも残念なことでした。(´・ω・`)