丸谷才一「マイ・スィン」の話題の続きですが
今回はちょっとマニアックな話題を。


『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』
通称・日本版EQMMに
「マイ・スィン」が連載されていた時には
毎回、冒頭に献辞がついておりました。

たとえば、こんな感じ。
「『マイ・スィン』の第一回は
 中村真一郎氏へと捧げられる。
 彼の『バック・シート』は
 ぼくをたいそう楽しませてくれたから。」

圏外の日乘-「マイ・スィン」第1回献辞

前にも書いた通り
初出時の記事がすべて
単行本に収録されたわけではありませんので
いっとき初出誌を探し出して
未収録分を読むのを
楽しんでたことがあります。


当方の備忘もかねて
初出リストを
以下にあげておくことにします。

献辞は単行本では
すべて省かれていますので
ついでといっては何ですが
誰に当てたものかを
to の後に書いておきました。

以下、カッコ付き数字の回が
単行本未収録回です。

♯01「クリスマス・ストーリーについて」1961.10 to 中村真一郎
♯02「すれつからしの読者のために」1961.11 to 水上勉
♯(03)イアン・フレミング 1961.12 to 根村絢子
♯04「長い長い物語について」1962.1 to 植草甚一
♯05.E・S・ガードナー『おせっかいな潮』1962.2 to 川上勝己助教授
♯06「サガンの従兄弟」1962.3 to 結城昌治
♯07「冒険小説について」1963.4 to 中田耕治
♯08「手紙」1963.5 to 橋詰彰三
♯09「ダブル・ベッドで読む本」1963.6 to 野坂昭如
♯10「犯罪小説について」1963.7 to 日下武史(役者)
♯11「フィリップ・マーロウといふ男」1963.8 to 吉田秀和
♯(12)マージェリー・アリンガム『反逆者の財布』1963.9 to 山本森康
♯13「美女でないこと」1963.10 to 多岐川恭
♯14「ケインとカミュと女について」1963.11 to 別宮貞雄夫妻
♯15「男の読物について」1963.12 to 都筑道夫
♯(16)フランク・グルーバー 1964.1 to 安倍寧
♯17「ある序文の余白に」1964.2 to 田村隆一
♯(18)J・J・マリック『ギデオン警視と暗殺者』1964.3 to 中野孝次
♯(19)ハドリイ・チェイス 1964.4 to 十返肇
♯20「タブーについて」1964.5 to 高橋悠治・歌子・ゆうじ
♯21「新語ぎらひ」1964.6 to 埴谷雄高

献辞の相手の内
さすがに作家・評論家などは分かりますが
中には、当方の知識不足で
誰? という人もいます(苦笑)

音楽評論家の吉田秀和や
音楽家の高橋悠治の一家に送っているのは
昔はよく分かりませんでしたが
今の自分には、おおっという感じ。


単行本未収録分も含めた完全版、
どこかで復刻されないもんでしょうか。
(未収録分だけの再録でもいいけど)

もっとも、対象となった本が
フレミングを除いては
軒並み入手難状態ですから
マニア以外には
需要がないかもしれませんけど。