
(講談社 ITAN コミックス、2012年7月6日発行)
先日、神保町に行くついでに寄った
本屋の店頭で平積みになっているのを見て
つい衝動買いしたものです。
シュリンクかかっているわけですから
中身は分からないわけで
完全な不見転のジャケ買い
あるいはタイトル買いでしたが、
読んでみたら、がっつりとミステリしてて
びっくりでした。
小学生にして美少女俳優の鳥子が
旧友たちが届け物をしに家に向かう途中の踏切で
自殺してしまいます。
そしてその目撃者となった少女たちが
高校生になって再会したとき
一斉にあるメールが届く……
という出だしで、以下、
目撃者となった少女一人一人の視点から
当時の回想や鳥子への想いを絡めつつ
それぞれの物語が語られていくという
オムニバス形式の連作長編です。
タイトルは、マザーグースの有名な
「誰が駒鳥を殺したの?」Who Killed Cock Robin
に出てくる歌詞
「私、と雀が言った」I, Said the Sparrow
をベースにしており、
登場人物の名前や綽名も
その歌のキャラクターである
蠅や雀などをもじったものになっています。
鳥子を自殺へと追いやった人間は
誰なのかを詰めていく話であると同時に
マザーグース・ミステリでもあるわけです。
1回読んだだけじゃ
人間関係やら登場人物の心理やらが
分かりにくいのですが、
2度目に読むと
丁寧に伏線が張られていることに気づき
ちょっと感心させられました。
青春サスペンス系のミステリとして
なかなかの出来映えだと思います。
ITAN コミックスというのは初めて買いましたが
想像系新雑誌『ITAN』に載ったものを
まとめて出しているようですが
「想像系」って何なんですかね~???
「異端」と同じ音の誌名というのもすごいし。
だからメフィスト賞作家っぽい
あるいは、いわゆる新本格っぽい話なのか
と腑に落ちたりもしたり(苦笑)