
(ケイエスエス KSXD-24487、2003.3.28)
夢野久作の『少女地獄』(1936)に収録されている
「殺人リレー」(1934初出)を原作にした映画です。
劇場公開は1997年の2月で
監督・脚本は石井聰互(現・石井岳龍)。
自分は今回初めてDVDで観ました。
ずーっと前に買っておいたんですが
いつ、どういう状況で買ったのか
まーったく覚えてません。
(新品で買ったのは確かです)
とにかく夢久だから買っとかなくちゃ
という感じでして(^^;ゞ
でも、買っとけば
こうして観る機会もあるわけで(*⌒∇⌒*)
主役のバス・ガール(バスの車掌)
友成トミ子を演じた小嶺麗奈は
映画『仮面ライダー FIRST』(2005)で
緑川あすかを演じた人。
といっても、全然気づきませんで、
Wiki で検索して知りました。へえ~~~
そのトミ子に、
バス・ガールばかりを狙う
連続殺人鬼と思われる(思われてしまう?)
運転手・新高を演じたのが、浅野忠信。
トミ子の友人・山下智恵子が京野ことみ。
彼女は、小嶺麗奈より可愛かった。
(単なる個人的趣味ですがw)
あと、黒トンビの男で嶋田久作が出ていますが
何のために出てきたんだ、彼は?(苦笑)
原作者・夢野久作に顔立ちが似ているから
出てきたとしか思えないです(藁
昔、『二十世紀少年読本』(1989)という
林海象監督の映画を観たことがあり、
筒井ともみの小説『月影の市』(1991)の
テレビ・ドラマかなにかの映像も
観た記憶があるんですけど
(検索しても出てこないけど。うーん)
そういう感じの映像を連想しました。
というか、ジャケを見て
そういう感じの映画かなあと
何となく思ってました(苦笑)
まあ、そういう感じの映画では
ありましたが……
(そういう感じって、なんだーw)
でも、うーん、この映画だけ観ても
話が分かるようでよく分からじ。
モノクロの映像は、なかなか雰囲気があり
ボンネット・バスも良ござんしたけどねえ。
良い子は観ちゃダメ、なとこも
表面的には、なかったし。
というわけで
ちょっと釈然としないところもあり、
原作の「殺人リレー」を読み直してみました。
原作は書簡体小説で
トミ子が智恵子に送った手紙だけで
構成されています。
そこにはトミ子の友人で、
新高に殺されたらしい
月川艶子からの手紙が引用されているし、
新高が色魔の殺人鬼だという新聞記事も
智恵子さんも見たでしょうというふうに
言及されているので、
新高は確かに連続殺人鬼のように思われます。
ただ、手紙しか載っていないので
全てトミ子の妄想だといって
いえないことはない。
艶子からの手紙は、トミ子によれば
燃やされてしまって、もうないそうだし。
新高の正体を暴いた新聞記事も
言及されているだけで
記事自体が掲げられているわけではないし。
映画では新聞記事が映っていたのですが
それが新高のことを指すのかどうか、
劇中の刑事が言う通り
厳密にはいえないわけですし……。
その際、刑事が智恵子に
トミ子は虚言癖があるのではないかね
と聞いているのも意味深です。
『少女地獄』の冒頭に収められた
「何んでも無い」が
先天的な嘘つきの看護婦の話なので
映画はそれを踏まえているのだろうし、
原作本を収録作品順に読むと、
人生に退屈して虚無感にとらわれた少女の
妄想的な幻想とも取れなくはないわけでして。
夢野久作は、なんといっても、
あの『ドグラ・マグラ』の作者ですからね。
原作を読むと、
映画の方では智恵子がトミ子の友人として
原作よりクローズアップされてることが
よく分かりました。
最後の、海岸での智恵子とトミ子のやりとり、
原作の『少女地獄』な世界が垣間見られて
原作にはないけれど、秀逸でした。
モノクロ、90分。
ちょっとダレるところもあるけれど
自分が観た夢野原作映画の中では
出色の出来ではないかと思います。
ちなみに、オスロ映画祭グランプリと
ソチ映画祭審査員特別賞を受賞したそうです。
ソチ映画祭って、どこの映画祭なのさ(藁
(註:検索したら、ロシアの映画祭でした)