$圏外の日乘-『落語横車』文庫版
(1980/講談社文庫、1984.2.15)

ずいぶん前に買ってあった本ですが
(出た時ではなく、古本屋で【^^ゞ)
宇野信夫『話のもと』を読み終えたあと
電車の中で読むのに
ちょうどいい本はないかと
書棚を見ていたら目に入ったので、
抜いて持ち歩いていましたが、
昨日、晩酌のお伴に
最後まで読み終わっちゃいました。


和田誠はイラストレーターとして有名で
たぶん誰もがその絵を
目にしたことがあるかと思います。

著作も何冊かありまして、
『倫敦巴里』(1977)なんて
無類に面白かった記憶があります。
(とかいいながら、どこで読んだのか。
 手許にはないのですけれど【^^;ゞ)

『落語横車』は題名でお分かりの通り
落語に関するエッセイと鼎談、
そして和田誠の創作落語が五編
収められています。


エッセイでは冒頭の
「時そばの時刻」に感心しました。

落語関連のアンソロジーか何かに
収められてもいいくらい
目からウロコの内容でした。

その他のも、こうした類いの
こっちが見逃していることに
気づかせてくれる考証ものだと思っていたら、
そうではなかったんで、ちょっとガッカリ。

「みいらとり」が
ちょっと面白かったくらい。


創作落語は、実際の落語家に
演じてもらう機会があったようで
「荒波や」だけ
春風亭小朝の口演分が
併録されています。

サゲ(オチ)が違うんですけど
小朝版の方が好みですな。

口演してもらったやつが
『和田誠寄席』と題して
レコードになっているようですが、
(ビクター SJV-6602~3)
これはぜひ聴いてみたいものです。

CDには、なってないようですね。
残念!(> <)


鼎談は
同じくイラストレーターの山藤章二と
落語評論家の山本益博とで行われていて、
これは、本人のエッセイよりも
すこぶる面白かった、申し訳ないけど(笑)

なんでだろうなーと思うんですけどね。

簡単ながら、落語論的なところが
あるからでしょうか。


文庫版の解説は故・星新一です。
その解説に

 そうめん冷食すずしいかな縁

という江戸川柳が紹介されてるんですけど、
これは確かにすごい。

NHK人形劇『新八犬伝』(1973-75)を
観ていたから、
すごいと分かるんでしょうけど(^^;ゞ

こういうのが分かると、
年寄りであることも
なかなか愉しいかとも思ったり(苦笑)


この本も品切れですが
Amazon だと88円でした。

自分が買った時の古書価は150円です。

お値段的にはその程度かと思いますが、
落語好きにはおススメかもしれません。


創作落語も面白かったけど、
エッセイ「時そばの時刻」は
上にも書いた通り
アンソロジーとかで
簡単に読めないのが残念です。
(自分の知る限りですがねw)


あ、あと、エピグラフとして
巻頭に掲げられている
古今亭志ん生の口演からの引用、
これはワロタです(^-^)