$圏外の日乘-pako『UN-GO ~因果論』
(角川コミックス・エース、2012.5.10)

先に紹介した山田J太によるコミカライズ
『UN-GO 敗戦探偵・結城新十郎』第1巻
同時発売されたコミックスです。

作画の pako は
『UN-GO』のキャラデザをやられた方。
同じくキャラデザをやった高河ゆんが
作画協力として加わり、
會川昇がストーリーを提供するという、
これぞオリジナル・スタッフが関わった
正統的なコミカライズというわけです。

巻末に載っている
會川昇のあとがきによれば
高河ゆんはネームを担当したのだとか。

こりゃあ、高河ファンにとってもレアだぜ。


エピソード0の「因果論」は
劇場版があり、
會川昇によるノベライズがあり、
それに今回のコミカライズが加わるわけですが、
すべて微妙に設定が違います。

特にコミカライズは
ストーリーが大胆に異なっていて、
コミックスの表紙でも分かる通り
風守が大活躍します。

そこが大いに読みどころのひとつ。


そして新十郎と世良田蒔郎、倉田由子の関係も
アニメやノベライズとぜんぜん違っていて
これは「因果論」を観た/読んだ方も
必見ではないか、と思います。

特に pp.106-107 の回想シーンは
(この設定なら)こうでなくちゃ
と、グッときました。

そこも読みどころのひとつ。


そして、絵がシャープ。

海勝梨江はこちらのキャラの方が
絵も含めて、もろ好み!(笑)

梨江の新十郎への想いが
アニメよりストレートに分かるのも
もろ好み!(笑笑)

第1章の最後にある、結城新十郎を
自分にとっての謎になどしてやるものか、
というモノローグ、いいですねえ。


第3章で、新十郎が因果に対して
梨江の依頼を受ける理由を話す場面も
いいですねえ。

アニメ版の最終回での
新十郎と梨江を観た人なら、
コミカライズ版「因果論」に
それがうまく活かされているのを読んで
感心するのではないか、と。


新十郎は中盤から後半、
名探偵っぽくないのはともかく、
世良田がラスト、やや柔弱なのは
気になりました。

でも、これはこれで
アニメで観てみたかったかもなあ
と思わせる出来映えでした。


日本のクラシック・ミステリのファンなら
88ページの新十郎の台詞に
脳天に鉄串を刺されたような
気分になるかも(あくまでも「かも」w)

これには気づきませんでした~


これ、コミックス単独でも楽しめますが、
アニメを観ていれば
いっそう楽しめる1冊だと思います。

というか、アニメ観てないと
一部、設定が分かりにくいと思われ(苦笑)

アニメを観てた人なら
チョーおススメです(^-^)