
(東京創元社 ミステリ・フロンティア、2011.3.25)
2007年に、東京創元社が主催する
第4回ミステリーズ! 新人賞を受賞した
短編「夜の床屋」を巻頭に置いた
連作短編集です。
七つの物語を収録していると
オビ裏に書いてありますが、
四つ目の「葡萄荘のミラージュ I」
以下の四章分は
作中作の「『眠り姫』を売る男」を含めた
ひと続きの話と見ることができます。
ですから、作中作を別カウントすれば
完結した物語は五つ
といった方がいいでしょう。
「夜の床屋」は
無人駅前の商店街(住宅街?)にある
シャッターを下ろした寂れた床屋が
夜に入ってから営業を始めた理由を
推理する話です。
過疎化が進む土地のちょっといい話
かと思ったら、意外な裏があった
というお話ですが、
続く「空飛ぶ絨毯」は
寝室に敷いていた絨毯が
寝ている間に盗まれるという
似たような方向性の謎を扱った話ながら、
海霧の漂う町を背景として
奇妙なキャラクターが絡み
幻想的な雰囲気もあって、
「夜の床屋」とは
ガラリと変わった印象を与える話になってます。
文体からして違う感じがします。
オチのつけ方に釈然としないところがあって、
2作目にこういう話を持ってくるようじゃなあ、
と思いつつも、さらに読み続けると
「ドッペルゲンガーを捜しにいこう」は
宮部みゆきが書くような、ほのぼの系ミステリ。
これは「夜の床屋」とタッチが似ています。
そして「葡萄荘のミラージュ I」に入るわけですが、
こちらは明治時代の洋館に隠された宝を探す話。
コナン・ドイルの「マスグレーヴ家の儀式」とか
その手の話を連想させますが、
宝の正体は何かという謎は
「葡萄荘のミラージュ II」へと引き継がれ、
作中作「『眠り姫』を売る男」で
そのとんでもない正体が明らかになります。
そして「エピローグ」に至って、
本書は連作短編集へと変わるのですが
(やや無理矢理にw)
「葡萄荘のミラージュ」と
「『眠り姫』を売る男」は
奇譚としかいいようがないエピソードで
戦前の「探偵小説」を彷彿させるものがあります。
正直、最初の三編と「葡萄荘」連作とは
世界観が統一されていないような印象を受けるし、
1冊の本としては
無理やり結びつけたぎくしゃく感が
なくもないのですが、
後半の「葡萄荘」連作には
妙に引きつけられる魅力がありました。
ちなみに、タイトルで
「インディアン・サマー」を謳っている理由は
よく分かりませんでした(^^;ゞ
オビにあるように
「四季折々」感が際立っているかといえば
そんな感じもしなかったんですよねえ。