ようやく旧 DVD-BOX シリーズの
最終巻に到達しました。

$圏外の日乘-『刑事コロンボ 完全版』Vol.21 & 22
(ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
 UJSD-01033、2002)

『死者のメッセージ』に始まる
第7シーズン5作は
あまり評判が良くなくて、
自分的にも
印象が良かった記憶がありません。

『死者のメッセージ』は
アガサ・クリスティーを彷彿させる
高齢の女性ミステリ作家
アビゲイル・ミッチェルが、
姪の復讐のために
義理の甥(姪の夫)を殺す話です。

ラスト・ネームは、むしろ
やはりイギリスの女性ミステリ作家
グラディス・ミッチェルから
取ったのかという感じですけど。

最初に観た時、金庫に閉じ込められた
義理の甥が残すダイイング・メッセージに
謎ときの面白さが感じられなくて、
失望した記憶があります。

今になって観ると
ダイイング・メッセージとしては
リアルかと思いますし、
現場に残された傷跡の付いた金属ケースを
入れ替えて解釈するあたりは
エラリー・クイーン風ではありますが、
(たとえば「Eの殺人」とか)
やっぱり、捻りがないから
つまらないですね(苦笑)

むしろ面白かったのは、
アビゲイルは姪が、その夫(義理の甥)に
殺されたと思い込んでいるわけですが、
視聴者には判断がつかないわけで、
アビゲイルの逆恨みではないかと思わせる点と、
コロンボが被害者(義理の甥)の
自宅を調べた時に
妻(アビゲイルの姪)の写真が
1枚もないことから
夫婦仲が良くなかったと指摘する点ですね。

それと音楽。

コロンボ・シリーズには
クラシック音楽が引用されることが多く、
『黒のエチュード』のように、
指揮者が犯人のエピソードもあります。
これにはモーツァルトの曲が引用されてましたけど、
基本的にショパンとかチャイコフスキーとか
ロマン派以降の作品がメインのような気がします。

きっとアメリカ人は、というか
当時のアメリカの視聴者には
それがクラシックのイメージだったんでしょう。

ただ今回は、BGMにフーガが使われてました。
弦楽演奏による短いものですが。

これは、本エピソードの音楽を担当する
パトリック・ウィリアムズの
オリジナルのようですが、
流れた途端に、おっと思わせられます。

いつも参照する
『刑事コロンボ 完全事件ファイル』には
「(今回はJ・S・バッハ風)」と
書いてありましたけど、
要するにフーガということですね。

さすがに、この BGM の面白さには
初見の時には気づけなかったです(^^ゞ

バロック音楽にハマったから
おおっと思えたわけで。

これから初めて観る方、観直す方、
ご注目ならぬ、ご聴目でございます。