かつて、コロンボ人気にあやかって
『ミセス・コロンボ』という
テレビドラマ・シリーズが
作られたことがありました。
日本で放映されたのは全部で何話か
分かりませんが、
1~2話、観た記憶があります。
たいして面白くなかった
という記憶もあるんですけど(苦笑)
たまたま(たまたま? w)
ノヴェライズ本を1冊、持ってます。
それがこれ↓

(1979/笹村光史訳、二見書房、1979.12.25)
たぶん古本屋で買ったんだと思いますが、
持ってるだけで、
例によって(え? w)読んでませんでした。
ところが、
先に紹介した『ミステリマガジン』の
コロンボ特集号の記事で、
『刑事コロンボ 完全事件ファイル』の
監修を務めている町田暁雄が
コロンボの未制作シナリオについて書いていて
それを読んで、『殺人ネットワーク』が
奇跡のような本だということを知りました。
コロンボ・シリーズのノヴェライズは
前にもちょっと書いた通り
アメリカで本になったものを
訳しているのではなくて
アメリカから届いたシナリオを基に
日本で書き起こされているものです。
ミセス・コロンボ・シリーズも同様で
向こうから届いたシナリオを基に
書き起こしています。
で、『殺人ネットワーク』は
本国では何らかの理由で
未制作になったらしい。
(町田さんの記事を読むと
何となく見当はつきますが)
でも日本で先行して本にしたものだから、
幻の作品が本になるということが
起きてしまったわけです。
このときベースとなった脚本が
オリジナル・クリエイターの
ウィリアム・リンク&リチャード・レヴィンソンが、
コロンボ・シリーズの中でも
優れたエピソードを書いたことで知られる
ピーター・S・フィッシャーと
まとめたものであり、さらには
ミステリ作家のジョー・ゴアズが
後にコロンボ用にリライトしたものだった
というんです。
これは海外ミステリ・ファンとしては
気にならないわけもなく、
そういう、マニア的には
いちばん気になる作品をたまたま持ってる
ということなら、これは
読まないわけにはいかないでしょう(藁
というわけで、目を通してみました。
内容は、
人気クイズ番組の司会者が妻を殺す
という倒叙もので
何と、冒頭で密室トリックが出てきます。
犯行時、犯人はバンガローの一室におり、
その部屋の窓は壊れていて開かず、
もうひとつの窓がある別室は
ワックスが塗られたばかりで
通り抜ければ足跡が残るはずだし、
ドアの外には秘書がいた、という状況です。
つまり密室からの脱出トリックなわけですね。
このトリック自体はチャチなものでしたが
(発想は面白いんですけどね)
それより何より、倒叙ものなのに
犯人が密室を作っている描写をせず
視聴者に密室トリックを推理する
楽しみを提供している点が
実に異色でした。
しかも、トリックを推理するための伏線が
きちんと張られているのには感服。
その他、ミセス・コロンボの甥の刑事が
通りすがりのヒッチハイカーの犯行だ
と推理するのに対して、
犯行現場の矛盾を突き詰めて
その推理を崩していくあたりの呼吸は
コロンボそのものでした。
もちろん、その矛盾を指摘する
きっかけとなる描写(伏線)もあります。
さすがリンク&レヴィンソン&フィッシャーの脚本を
ベースにしただけのことはあるという印象でした。
新シリーズの1作目だということを意識してか
キャラクターの書き込みもよくされていて、
ミセス・コロンボは、コロンボはもちろんですが、
ミス・マープルを彷彿させるところもあり、
実に活き活きとしています。
このレベルの出来なら
面白かったはずですが、
上にも書いた通り、残念ながら
映像化されなかったようです。
ノヴェライズ本は他に2冊出ていて、
(『ミステリマガジン』コロンボ特集号の
ノヴェライズ・リストにも、あがってます)
残り2冊もこれくらい面白いのかどうか、
持ってないので知りようもありません。
ただ、『殺人ネットワーク』は良かったです。
何であれ、とりあえず買っておくと
いつかは役に立つものですね(*^.^*)
『ミセス・コロンボ』という
テレビドラマ・シリーズが
作られたことがありました。
日本で放映されたのは全部で何話か
分かりませんが、
1~2話、観た記憶があります。
たいして面白くなかった
という記憶もあるんですけど(苦笑)
たまたま(たまたま? w)
ノヴェライズ本を1冊、持ってます。
それがこれ↓

(1979/笹村光史訳、二見書房、1979.12.25)
たぶん古本屋で買ったんだと思いますが、
持ってるだけで、
例によって(え? w)読んでませんでした。
ところが、
先に紹介した『ミステリマガジン』の
コロンボ特集号の記事で、
『刑事コロンボ 完全事件ファイル』の
監修を務めている町田暁雄が
コロンボの未制作シナリオについて書いていて
それを読んで、『殺人ネットワーク』が
奇跡のような本だということを知りました。
コロンボ・シリーズのノヴェライズは
前にもちょっと書いた通り
アメリカで本になったものを
訳しているのではなくて
アメリカから届いたシナリオを基に
日本で書き起こされているものです。
ミセス・コロンボ・シリーズも同様で
向こうから届いたシナリオを基に
書き起こしています。
で、『殺人ネットワーク』は
本国では何らかの理由で
未制作になったらしい。
(町田さんの記事を読むと
何となく見当はつきますが)
でも日本で先行して本にしたものだから、
幻の作品が本になるということが
起きてしまったわけです。
このときベースとなった脚本が
オリジナル・クリエイターの
ウィリアム・リンク&リチャード・レヴィンソンが、
コロンボ・シリーズの中でも
優れたエピソードを書いたことで知られる
ピーター・S・フィッシャーと
まとめたものであり、さらには
ミステリ作家のジョー・ゴアズが
後にコロンボ用にリライトしたものだった
というんです。
これは海外ミステリ・ファンとしては
気にならないわけもなく、
そういう、マニア的には
いちばん気になる作品をたまたま持ってる
ということなら、これは
読まないわけにはいかないでしょう(藁
というわけで、目を通してみました。
内容は、
人気クイズ番組の司会者が妻を殺す
という倒叙もので
何と、冒頭で密室トリックが出てきます。
犯行時、犯人はバンガローの一室におり、
その部屋の窓は壊れていて開かず、
もうひとつの窓がある別室は
ワックスが塗られたばかりで
通り抜ければ足跡が残るはずだし、
ドアの外には秘書がいた、という状況です。
つまり密室からの脱出トリックなわけですね。
このトリック自体はチャチなものでしたが
(発想は面白いんですけどね)
それより何より、倒叙ものなのに
犯人が密室を作っている描写をせず
視聴者に密室トリックを推理する
楽しみを提供している点が
実に異色でした。
しかも、トリックを推理するための伏線が
きちんと張られているのには感服。
その他、ミセス・コロンボの甥の刑事が
通りすがりのヒッチハイカーの犯行だ
と推理するのに対して、
犯行現場の矛盾を突き詰めて
その推理を崩していくあたりの呼吸は
コロンボそのものでした。
もちろん、その矛盾を指摘する
きっかけとなる描写(伏線)もあります。
さすがリンク&レヴィンソン&フィッシャーの脚本を
ベースにしただけのことはあるという印象でした。
新シリーズの1作目だということを意識してか
キャラクターの書き込みもよくされていて、
ミセス・コロンボは、コロンボはもちろんですが、
ミス・マープルを彷彿させるところもあり、
実に活き活きとしています。
このレベルの出来なら
面白かったはずですが、
上にも書いた通り、残念ながら
映像化されなかったようです。
ノヴェライズ本は他に2冊出ていて、
(『ミステリマガジン』コロンボ特集号の
ノヴェライズ・リストにも、あがってます)
残り2冊もこれくらい面白いのかどうか、
持ってないので知りようもありません。
ただ、『殺人ネットワーク』は良かったです。
何であれ、とりあえず買っておくと
いつかは役に立つものですね(*^.^*)