昨日は、高輪にある
ギャラリー・オキュルスで開かれた
「アンドロギュノスの裔(ちすじ)
渡辺温オマージュ展」の
オープニング・パーティーに
行ってきました。

渡辺温という作家を紹介するとしたら、
渡辺啓助の弟で横溝正史の友人、
雑誌『新青年』の記者として
谷崎潤一郎を訪ねた帰りに
鉄道事故に遭い、27歳で夭逝した
戦前の探偵作家、
ということになりましょうか。
探偵作家というよりモダニストというべき
というお叱りの声も聞こえてきそうですが、
いわゆる『新青年』作家として
戦前の探偵小説ファンに
受け入れられてきた時期が長いので
やっぱりそういう紹介にならざるを得ない。
最近になって、ついに(ようやくw)
『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』
(創元推理文庫、2011.8.26)
が刊行され、それを記念しての
展覧会でもあります。
ちなみに、
ギャラリー・オキュルスのオーナーは
渡辺啓助の四女で画家の渡辺東さんです。
オープニング・パーティーでは
u. c. c.(under cloud crack)という
男女のユニットによる
渡辺温作品の朗読
(「兵隊の死」と「シルクハット」)
と、オリジナル曲の演奏、
ベルナール・キリシ教授による
フランス語訳「兵隊の死」の朗読
などがありました。
u. c. c. のお二人は、
男性がヴォーカル、女性がギター伴奏で
伴奏に使っていたのは
サイレントギターでした。
セッションは2回あって
オリジナルのヴォーカル曲は
2回目に演奏されたのですが、
その時、自分はギャラリーの外で歓談していて
聴き損ねたのは残念。
(ですから、2回目の朗読作品が
同じだったかどうかは不詳です【^^;ゞ)
朗読では、「兵隊の死」の
日仏両ヴァージョンが披露されたわけですが
キリシ教授が普通に読むフランス語版の方が
何となく音楽的で良かった気がするのは
当方の偏向した趣味にもよりましょうか(苦笑)
その際、キリシ教授、
アルチュール・ランボーにも
似たような設定の詩があると
おっしゃってましたが、
そのとき聞いたタイトルを頼りに
帰ってきてから調べたら
「谷間に眠る人」Le dormeur du val
という詩でした。
ウチにはランボー詩集はないのですが、
『中原中也全集』第5巻(角川書店、1968)に
中也が訳したランボー詩集が入ってたなあ
と思って(なぜか持ってるw)見てみたら、
「谷間の睡眠者」という邦題で載ってました。
個人的には、似ているのは
兵士が谷間に寝ているという
設定だけのような気がされ、
(もう一点、似てるところがありますけど
いわゆるネタバレになるので、内緒ですw)
ランボーと渡辺温とでは
明らかにモチーフが違うと思いますけど、
似たような状景をふまえて
違うストーリーを紡ぎ上げている点は
興味深いといえば興味深いですね。
渡辺温がランボーを読んでて
それを基に作ったといえるかもしません。
が、モチーフの違いは、すごく重要で
いろいろと考えさせられました。
ネットで検索すれば
「兵隊の死」(1927)も
「谷間に眠る人」(1870)も
簡単に読めますので、
(いちおうリンク貼っときますが)
興味関心がおありの方は
読んでみてください。
下の写真は、当日用のパンフ
「渡辺温へのオマージュ展開催記念冊子」。

(Galley Oculus、2011.9.22)
真空パック風に閉じられていて、
切って展開すると、以下のように
3冊のリーフレットになります。

白い四角は、創元推理文庫版
全集用(?)のしおりです。
あまりにも、おされ(オシャレ)過ぎる……
会場には
戦前探偵小説方面での知人もいらしてて
(どういう知人だといわれそうですがw)
中には久しぶりに会った人もおり
旧交を温めたことでした。
なお、作品展自体は
10月2日まで開かれています。
ギャラリー・オキュルスで開かれた
「アンドロギュノスの裔(ちすじ)
渡辺温オマージュ展」の
オープニング・パーティーに
行ってきました。

渡辺温という作家を紹介するとしたら、
渡辺啓助の弟で横溝正史の友人、
雑誌『新青年』の記者として
谷崎潤一郎を訪ねた帰りに
鉄道事故に遭い、27歳で夭逝した
戦前の探偵作家、
ということになりましょうか。
探偵作家というよりモダニストというべき
というお叱りの声も聞こえてきそうですが、
いわゆる『新青年』作家として
戦前の探偵小説ファンに
受け入れられてきた時期が長いので
やっぱりそういう紹介にならざるを得ない。
最近になって、ついに(ようやくw)
『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』
(創元推理文庫、2011.8.26)
が刊行され、それを記念しての
展覧会でもあります。
ちなみに、
ギャラリー・オキュルスのオーナーは
渡辺啓助の四女で画家の渡辺東さんです。
オープニング・パーティーでは
u. c. c.(under cloud crack)という
男女のユニットによる
渡辺温作品の朗読
(「兵隊の死」と「シルクハット」)
と、オリジナル曲の演奏、
ベルナール・キリシ教授による
フランス語訳「兵隊の死」の朗読
などがありました。
u. c. c. のお二人は、
男性がヴォーカル、女性がギター伴奏で
伴奏に使っていたのは
サイレントギターでした。
セッションは2回あって
オリジナルのヴォーカル曲は
2回目に演奏されたのですが、
その時、自分はギャラリーの外で歓談していて
聴き損ねたのは残念。
(ですから、2回目の朗読作品が
同じだったかどうかは不詳です【^^;ゞ)
朗読では、「兵隊の死」の
日仏両ヴァージョンが披露されたわけですが
キリシ教授が普通に読むフランス語版の方が
何となく音楽的で良かった気がするのは
当方の偏向した趣味にもよりましょうか(苦笑)
その際、キリシ教授、
アルチュール・ランボーにも
似たような設定の詩があると
おっしゃってましたが、
そのとき聞いたタイトルを頼りに
帰ってきてから調べたら
「谷間に眠る人」Le dormeur du val
という詩でした。
ウチにはランボー詩集はないのですが、
『中原中也全集』第5巻(角川書店、1968)に
中也が訳したランボー詩集が入ってたなあ
と思って(なぜか持ってるw)見てみたら、
「谷間の睡眠者」という邦題で載ってました。
個人的には、似ているのは
兵士が谷間に寝ているという
設定だけのような気がされ、
(もう一点、似てるところがありますけど
いわゆるネタバレになるので、内緒ですw)
ランボーと渡辺温とでは
明らかにモチーフが違うと思いますけど、
似たような状景をふまえて
違うストーリーを紡ぎ上げている点は
興味深いといえば興味深いですね。
渡辺温がランボーを読んでて
それを基に作ったといえるかもしません。
が、モチーフの違いは、すごく重要で
いろいろと考えさせられました。
ネットで検索すれば
「兵隊の死」(1927)も
「谷間に眠る人」(1870)も
簡単に読めますので、
(いちおうリンク貼っときますが)
興味関心がおありの方は
読んでみてください。
下の写真は、当日用のパンフ
「渡辺温へのオマージュ展開催記念冊子」。

(Galley Oculus、2011.9.22)
真空パック風に閉じられていて、
切って展開すると、以下のように
3冊のリーフレットになります。

白い四角は、創元推理文庫版
全集用(?)のしおりです。
あまりにも、おされ(オシャレ)過ぎる……
会場には
戦前探偵小説方面での知人もいらしてて
(どういう知人だといわれそうですがw)
中には久しぶりに会った人もおり
旧交を温めたことでした。
なお、作品展自体は
10月2日まで開かれています。