$圏外の日乘-『魂の仮面ライダー爆談!!』
(辰巳出版、2011年4月25日発行)

主として『東映ヒーローMAX』に
10年の長きに渡って
断続的に掲載されてきた記事を
語り下ろしなども加えてまとめた本です。

仮面ライダー放送開始40周年
とは、どこにも歌われてませんが、
明らかにそれ狙い、
それを見越しての刊行でしょう。

ただ類書と異なるのは、
筋金入りの仮面ライダー・ファン
というより、大野剣友会ファンであり
『仮面ライダーSPIRITS』の作者である
村枝賢一が(鴬谷五郎とともに)
ZXまでの魅力を爆談していること。

また当時の出演者やスタッフ、
仮面ライダーの魂を継ぐ者たちと
対談していることでしょうか。


その、魂を継ぐ者たちの中には、
自分が子どものころ読んで熱狂した
仮面ライダーのコミカライズ作品を描いた
まんが家すがやみつる も入っているんですが、
特にすごいと思ったのは、
高校時代に自主映画でライダーを撮って
その後大野剣友会の薫陶を受け、
アメリカに渡って Masked Rider RX の
中の人(それも RX)までやっちゃったという
ミチ・ヤマトの、まさに
ドリーム・ストーリーとしかいいようのない
話でした。


対談ないしインタビューは
類書がありそうですが、
番組の見所をひたすら語るというのは
かなり珍しい。

最後の「魂の“あとがき”爆談!」で
村枝賢一が次のように語ってますが、

 「今日は俺、ライダーの話がしたいな」ってとき、
 その相手がいない人には、
 ぜひこの本を読んでほしいですよね。
 そういう会話が繰り広げられてる飲み屋に
 来れちゃうよ? みたいな(p.214)

まさにその通りの本ですね(藁

ただ、村枝賢一ぐらい、こだわりのある人
ディテールにこだわる人の話だから、
そこらの飲み屋のグダグダな話よりは
よほど深いし、熱いし、ためになります。


村枝賢一自身は、
一文字ライダーの洗礼を受けた世代で、
スーパー1が、お話の完成度はともかく
アクションの完成度では
行くべきところまで行ったと
高い評価を与えているのが、
目からウロコな感じでした。

そう言われると観直したくなりますなあ(藁

あと、ゴレンジャーの前半と後半では
アクションのスタイルが明らかに違う、
前半が大野剣友会で後半がJACだから、というのも、
特撮マニアの間では有名な話なのかもしれませんが、
自分は初めて聞いたので新鮮でした。

さすがにゴレンジャーの映像ソフトまでは
持ってないので
確認して感心したくても
できないのが残念ですが……


とにかく、本書から浮かび上がってくる
当時の現場の雰囲気、
特に大野剣友会の身体を張った撮影には
脱帽としかいいようがありません。

大野剣友会のあり方は
内田樹の教育論(先生論)なんかも
彷彿とさせたりなんかして。
(個人的な印象w)


ちなみにこれ、連休前に読んだんですが、
読み始めたら止まんなくなって
徹夜しちゃいました(^^ゞ

ですから、連休中に読むのが
翌朝のことを心配せずにすんで
いいかも(藁