
(PHP研究所、2010年12月10日発行)
前に感想をアップした『バツリスト』と
同じ日に出た本です(奥付上は)。
最初に店頭でタイトルを見た時は、
バーのマスターがお客の悩み事を聞いて
問題(事件)の謎を解くパターンかねえ、
よくあるよねえ、と思ってナメてましたが、
読んでみると想像通りではなく、
ちょいとひねりを利かせてました。
そのひねりの説明をすると、
これから読む人の楽しみを
少し奪っちゃうことになるのですが……
でも、少しだけ書いちゃうと(^^ゞ
基本的に、
バーのマスターが快刀乱麻で謎を解く
という話ではありません。
まず第1話目で、マスターは
相談事の解決に失敗します(藁
それで、もう二度と人の相談には乗らない、
と決めるのですが、
毎回何となく流れで相談に乗るはめになる。
途中からは、友人が編集しているタウン誌の
占いコーナーの代役を務めるはめになり、
前任者の占いの結果からくる災難も
我が身に降り掛かるようになる。
前任者には、ストーカー的なファンもいて、
そのストーカーを撃退するにはどうしたらいいか
知恵を絞るという話もあります。
要するに題名とは反対に
「人生相談お断りします」
という内容の連作であるわけです。
そこだけ押さえておいて、あとは
ダークな話の展開に身を委ねるも良し、
意外な展開に驚くも良し、
とんでもなくぶっ飛んだ話はない代わりに
こちらの期待通りにも話は進みません。
そういうちょっとひねった
というより、ひねくれた(藁
連作ミステリでした。
各短編が相互に絡んでいるので、
連作長編といえなくもないような……
そこらへんの微妙さ加減も、
実に蒼井上鷹らしいというか
何というか(苦笑)