
(パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
PPA-101843、2006)
原作に忠実でありながら
映画らしいゴージャスな仕上がりを示している、
クリスティー映画の最高峰といってもいい作品です。
本国での制作年は1974年で
日本ではその翌年に公開されました。
『オリエント急行の殺人』(これが邦題)は
自分が初めて読んだ大人向けのミステリです。
その意味でも思い入れが強く、それに加えて
オリジナルに忠実な映像化だったので、
公開当時、劇場で観て、感動しました。
今、観直しても、伏線描写の巧妙さには驚かされます。
発音や言葉遣いに伏線を潜ませるあたり、
いかにも映画らしい処理で感心させられるのです。
(もちろん英語なので、
日本人観客にはハードルが高いわけですが【苦笑】)
そして誰もが誉める、最後のシーン。
カーテンコールの場面といわれているようですが、
『ナイル殺人事件』とは違って
万感の思いに至ること間違いなしの名場面です。
真相が真相だけに、
『ナイル』が百歩も二百歩も譲るのは
しょうがないんですけど。
アルバート・フィニー演じるポアロは絶品で、
初見の刷り込み効果もあり、
ユスティノフよりもお気に入りです。
なぜフィニーからユスティノフに代えたのか、
当時は文句のひとつもいいたくなったものでした(藁
乗客を演じる役者にもお馴染が多く、
お馴染でない中ではジャクリーン・ビセット演じる
アンドレニイ伯爵夫人が超絶美しいです。
DVD版にはメイキングが収録されていて、
その後の(約30年後の)ビセットが
インタビューに答える映像が流れるんですが、
それを観ると、時の流れは残……イエナンデモアリマセン
イングリッド・バーグマンは中年(初老?)の
宣教師の役を演じてますが、
バーグマンがジャンヌ・ダルクを
演じていることを知っていると、
ポアロに神のお告げを語る場面の演技を観ても、
いろいろと考えさせられますなあ。
バーグマンはこの映画で、アカデミー賞の
助演女優賞を受賞しています。
メイキングでは、たいへん珍しい
クリスティーの晩年のポートレイトも映ります。
生きていたら絶対公開を許さないだろうな
と思わせるような写真です。
シドニー・ルメット監督の話も
たいへん興味深い。
その他、日本語字幕・英語字幕を選べるだけでなく、
テレビ放映時の吹替えまで収録されています。
スペシャル・コレクターズ・エディションの
名前に恥じない1枚でしょう。
ちなみに、これもレーザーディスク版を持ってます。

(パイオニアLDC PILF-1749、1994)
これはシナリオディスク仕様で、
普通の日本語字幕と同時に
英語字幕を表示できるというもの。
ハード(再生機)がLD-G仕様でなければ
できないわけですが……
(Gはグラフィックスの頭文字)
これが『オリエント急行殺人事件』の
初LD化だったと思います。
ビデオは出てましたが、
LDが出るのを待って買い控えていたので、
ようやく出た時は嬉しかった~。
2枚組で5700円。機能が増えているのに、
『ナイル殺人事件』のLDより、はるかに安いのは、
それだけLDが普及してたということでしょうか。
自分が買ったとき、DVD版は税抜3980円でしたが、
今、Amazonで買うと、もっと安い……
おススメです!
ちなみにLD版インナージャケットの人物相関図、
登場人物が隠していた素性が全て暴かれていて、
完全なネタバレになってます。

いちおう、ミステリ映画なんですけどねえ(苦笑)