
(講談社文庫、2009年11月13日発行)
『シダの群れ』を観劇した後、
渋谷のBOOK-OFFに寄って、買いました。
元の単行本は2006年に出ています。
『おめでとう』と並行して読んだんですが、
読み終わったのはこちらが先です。
これも、恋愛がらみの話がほとんどで、
やっぱり、恋愛が絡まない話の方が
面白く思えたりします(^^;ゞ
ほとんどが、いわゆるPR誌に載った作品ですが、
講談社のPR誌『本』を初出とする前半の13編よりも、
後半の12編の方に、面白く感じた作品が多いです。
前半ではミステリっぽい「疑惑」三部作が面白いかな。
ちょっとシリアスで、それはそれでいいんですが、
別に川上弘美でなくても書きそう(書けそう)な感じ
なのが、なんともね。
文庫本の解説でも、表題作を含む
後半の12編の中から選んだ数編を解説していて、
(前半の13編中、言及しているのは冒頭の1編だけ)
まあ、偶然かもしれませんけど(藁
やっぱり後半の12編の方に、
出来のいい話が多いのかな、とか思ったり。
表題作もいいですけど、
インテリア誌の『室内』に載った「階段」と
教材研究誌『国語展望』に載った「だめなものは」が
個人的にはお気に入り。
女が上がると必ず踏み外す女階段
というアイデア(実話かもしれないけど)が、
まず、いい。
で、オチというかサゲというか、
語り手にその話をする女性の最後の一言が
見事に決まっています。
「だめなものは」は、
ものを書く人間が直面する畏怖
(といっても過去の体験なので、
語り手はまだ、もの書きではないのですが)
についての話で、はっとさせられました。
こうしてブログを書いているときでも
(ブログだからこそ?)
「だめなものは」に書かれた語り手の怖れを
しみじみと意識させられます。
プロの小説家と一緒にするのも僭越ですけど(^^;ゞ
ものを書くことに限らずとも、
表現するということに自覚的な人は
身につまされるんじゃあ、ないでしょうか。
ところで、渋谷のBOOK-OFFは
仕入れた時に付いてた本のオビを捨てずに売ってて、
それが実にいいというか、ありがたいんですけど、
文庫版『ハヅキさんのこと』のオビの裏には
作者のことばが印刷されてました。
文庫版用の書き下ろしなのか、
別のところから引っぱってきたのか、
よく分からないんですが、
おまけとしては、かなり嬉しかったです。
こんなこともあるから
オビは無視できないんですよねー(笑っ
●訂正(2010.9.13. 16:00ごろ)
『おめでとう』が『ありがとう』になっており、
明らかな間違いなので、訂正しときました。
なんで間違えたんだろうなー???