
(東京創元社、2007年11月30日発行)
現在はテレビ化に合わせて(だろうと思いますが)
同じ東京創元社から、この6月に文庫化されました。
『大魔神カノン』の特集を読むために買った
『特撮ニュータイプ』で、
本作品のドラマ化特集記事が載っていたのを読んで、
面白そうだと思ってたら、
近所のBOOK-OFFで見つけて
買っておいたものを、ようやく読みました。
面白かったです。
自分が「怪獣災害」という言葉を初めて聞いたのは、
『ウルトラマンティガ』(1996~97)で
だったかと記憶してます。
すごく新鮮だった印象がありますが、
こうした疑似社会学的な発想は、
Super Strings サーフライダー21編著
『ウルトラマン研究序説』

(中経出版、1991【写真】/扶桑社文庫、1998)
ぐらいから始まったのではないかと思います。
この前後だかに、特撮やアニメの設定を
まじめに解読しようという空想科学研究本が
ブームになったのではないか。
と思って、調べてみたところ、
この手の本の代表格である
柳田理科雄『空想科学読本』の刊行は
1996年からでした。
『MM9』は、
そういう疑似科学本の流れをふまえて
書かれているわけですね。
新造語(だと思いますが)としては
「怪獣テロ」というのも、新鮮でした。
SF的アイデアとしては、
多重人間原理という疑似サイエンスを設定して、
ビッグバン宇宙世界(要するに現在の自分たちの世界)での
物理法則を無視した怪獣という存在がいることへの
科学的な説明を加えているのには感心しました。
というか、
多重人間原理という疑似(?)物理学理論
そのものが面白いです。
それが最後のエピソード
「第五話 出現! 黙示録大怪獣」に
効いてくるあたりも、なかなかのもの。
あと、怪獣災害のレベルを決め、
対策を立て、退治するまでの
気象庁特異生物対策部、略して「気特対」による
ロジカルかつ現実に即応したアプローチが絶品です。
こうしたアプローチは
平成ガメラ三部作(1995~99)あたりで接したのが
最初だったかなあと記憶していますが、
こうして見てくると90年代半ばから
怪獣特撮ものの新しい方向が出てきたんだなあ
ということが、改めてよく分かりますね。
特撮ファンの方は
もうすでにお読みかもしれませんが、
未読の方がいましたら、これはオススメです!
(ミリタリー・マニアにもオススメかも)
ドラマの方は、今のところ第1話を観ただけですが、
原作とはかなり雰囲気が違いますね。
原作は怪獣がバンバン出てくるので、
そのまま映像化すると予算がうなぎ登りでしょうから、
まあ、しょうがない(藁
これでやっと心置きなく、
録画してあるドラマを観ることができます。
よかったよかった。