千秋楽公演に行った時$圏外の日乘-「リセット3・2・1…』アンケート用紙
もらった
会場で配られる
フライヤーの中に
感想を書く用紙が
入っていました。
仄聞したところによると、
金曜日までは
入っていなかった
らしい(藁

自分はこちらで
書く予定でしたので
感想用紙の方には
書きませんでしたが(^^ゞ

以下は主に
ストーリー面を中心とする感想です。
ネタバレ等ありますので、未見の方はご了承ください。

千秋楽公演が終わったとはいえ、
DVDが出た時に初めて観るという人も
いるかもしれないので、
いちおう注意書きしておきます

あ、それと「最初に言っておく」
今回のブログ、かーなーり、長い!(笑っ

***

ストーリーが分かりにくい、
という声も漏れ聞きましたが、
自分が理解するかぎり、
以下のようなものかと思います
(細かい数字上の記憶違いはごめんちゃw)。

1999年7月13日、僕の地球が亡くなった、
という花澤春輝のつぶやきで始まるこの舞台、
最初に暴露しておくと、
春輝のいう「地球」とは春輝の主観での「地球」で、
要するに春輝の「世界」が崩壊した、という意味です。

ですが、最初は観客にはそれが伏せられていて、
あたかもノストラダムスの有名な予言が
実現したかのように思わせられるわけですね。

崩壊した地球に立つ春輝は
「やりなおしたいか」という神様の声を聞く。
神様の声は池田秀一。シャアです。
こちとら的にはサンダール(藁

とまどう春輝の前に小悪魔の冬が登場し、
春輝に地球を救うよう振る舞うことをそそのかす。
舞台の冒頭は、春輝と冬の
コミカルなやりとりに終始します。

春輝を演じたのが
『トミカヒーロー レスキューフォース』で
ヒカルを演じた猪塚健太くん。
冬とのやりとりのなかで、
レスキューフォースの決めポーズを
へなちょこ風にやる芝居があるのはそのためで、
特ヲタの琴線にふれたことでした(藁

春輝は地球を救うことを決心し、
神様によって7月10日の日常にリセットさせられる。
相変らずの日常、ちょっと違うのは、
友人たちが映画を録るために春輝の許に集まり、
冬の提案で主役は春輝、
テーマは「花澤家最大の事件」である
両親の離婚を食い止める春輝
というドキュメンタリーに決定します。

春輝の幼なじみ沢田一郎が登場し、
春輝の両親の離婚を食い止めるために、
ノストラダムスの予言を利用することを提供します。

死んだ春輝の祖父はノストラダムスの研究家で
その口ぐせが「和子さん、お茶~」
ではなく(これは舞台上のギャグのひとつ【藁】)
「わしらはノストラダムス様の末裔じゃ」。

花澤家の面々はノストラダムスの予言を
信じやすい体質であるはず。
ノストラダムスが両親の離婚を予言し、
さらには復縁を予言していれば、
離婚は防げるのではないか、という作戦です。

この作戦の途中から、春輝は
自分が現実を受けいれずに来てしまったことを悟る。

その「現実」とは、
春輝の恋人だった冬が、一郎に一目惚れしてしまい、
それを知った春輝が冬を殺してしまう、という現実です。
さらに、春輝の罪の責任を引き受けようとした家族まで
春輝が惨殺していたことが明らかになります。

冬を殺したその日か、
家族を惨殺したその日を起点にして、
3日前からもう一度人生をやり直すことで、
家族の愛や冬の愛にふれ、
春輝は現実の人生を受け入れ、
自分のやったことを受け入れ、
その責任を自覚して生きていくことを選択する、
それが春輝にとっての
地球を救うことに他ならなかった、というのが、
大まかなストーリーになるかと思います。

全編、春輝のインナースペースないしは
脳内幻想の世界を背景としており、
最後の最後、春輝が謎の男女、その実体は
女性精神科医と刑事(か検事)の前に
ジャージ姿で座る春輝、という場面だけ、
春輝のインナースペースではなく
いわゆる外の現実を背景とした場面になっている、
という趣向の劇でした。

合ってるかな~(藁

ほとんど春輝の脳内現実の話なので、
時系列やキャラクターの多少の歪みなら、
すべて春輝の願望、無意識の作用、
といってしまえるような話になっています。
別に夢野久作の『ドグラ・マグラ』を持ち出すまでもなく、
最近のエンタメには多いパターンですから、
結末を知ってから観るなら、
実に分かりやすい話だと思います。

春輝が果物ナイフを持ってくるまで
一郎と冬は気づかなかったのか、とか、
果物ナイフぐらいで一家五人を惨殺するなんて
無理だとかいうのは、野暮なんです(藁

一点、気になるのは、
冬が美子の旦那・良太に抱きついたことで
美子がキレて、茶の間で大騒ぎになるシーン、
舞台で演じた後、春輝が持っていた
ビデオ・カメラ内の映像も流れますが、
あのカメラを誰が持っていたのかが分からない。

春輝の友人がカメラを回していた
(て、古いな。デジカメなんで回さないんだけどw)
と考えると、その友人3人が
同じ場面で撮られているショットの意味が分からない。

演出を担当した鈴村展弘は、
自分は映像畑の出身なので、
映像の要素も取り入れようとしたと
パンフで書いてましたが、
そのためテレビドラマか映画のような
場面構成になっているところが散見されます。

細かい顔の表情は映像でないと捉えきれないので、
映像で撮って映すという意図も
分からなくはないのですが、
茶の間の追っかけっこの場面だけ、
違和感が残りました。

というのも、あの場面、
春輝がビデオ映像を確認している場面の流れで
流れたからだと思います。

ストーリーに関しては以上。
昭和の下町コメディが、急転直下、
陰惨な一家惨殺のサイコものになるわけで、
ミステリを読み慣れた人間からすれば、
どうということはありませんが、
何でもかんでもインナースペースで
実は陰惨な話でした、というオチは
何となく最近多いような気がするのは
気のせいでしょうか。

だから悪いたぁいいませんが、
いささかウンザリさせられることは確かです。

前向きに解釈すれば、
そんな下町家庭は現実には存在しない、
三丁目の夕日なんて幻想なんだという
意地悪なメッセージなのかもしれない。

そういう意地悪さは、嫌いではないっすけどねー(藁

でも、最終的に春輝の精神は、
冬への/からの愛と、家族への/からの愛で
救われるようにも見えますが、
あれだって春輝の幻想、願望でしかないですからね。

あのプロットで家族愛を訴えるのは
ちょっと図々しすぎる気もします(藁

ちなみに、すべての舞台が終わった後、
ダンサーズが登場して、小悪魔ダンスを踊るのは、
よく寄席なんかで怪談噺の後、
かっぽれとかを踊って気分を変えるのと
同じ考え方かなあと思ったことでした。

演技では、沢田聖子を演じた松本梨香の
自由さ(藁)が突出しておりました。
松本さんと絡むことの多い和子を演じた
野村かおりさんも、サイコーです。

あと、何といっても春輝の友人の一人
みゆきを演じた酒井香奈子さん。
二宮康さん演じる一郎に一目惚れした後の
キャイ~ンな演技は絶品でした。
「ノストラダムシュ」とか、
なぜか幼児言葉になるあたり、大ウケでした(藁

春輝の男子の友人2人を演じた
一内侑・市原朋彦のお二人や、
美子の旦那を演じた三上潤さんも良かったが、
美子の弟・花澤家の次男を演じた
永松弘隆さんの怪演は忘れられません。
奈央ちゃんに蹴られたり口チャックされたりして、
いいな~とか思ったり(藁

猪塚くんは、レスキューフォースのヒカルより
合ってるんじゃないかと思ったり(藁
冬が歌った後、袖に引っ込む時に
「つないどいて~」と言われて、
いろんな物まねする独り芝居とか、
がんばってましたね~。良かったです。

冬は、まあ小悪魔がんばった。
単なる不思議ちゃんにしか見えなかったけど(藁
まあ、そういう演出なんでしょう(藁×2
ダンサーズを背中にアイドルソングを歌う場面も
印象的でした。

謎の黒服の女を演じた山崎百合子さん、
息んでいるように見えないのに声が通っていて、
すごくクリアに聞こえたのが印象的でした。
出番が少ない上に、表情のない役だったので、
もっと喋って動くところ見たくなりました。

あとは、お父さんを演じた亀井俊彦さん、
三河屋を演じた永島真之介さん、
謎の黒服の男を演じた松本博之さんか。

三河屋は、
悪いけど何のために出てきたのか、分からない。
下町の点景に過ぎなかったのが残念。

謎の黒服の男、
法廷場面(?)とかあったり、怖い感じは出てたけど、
ちょっと出番が少なかったのが残念。

お父さん、もうちょっと遊んでも良かっですけど、
松本さんに「自由だなあ」と言った千秋楽は
面白かったよ~(藁

そして奈央ちゃん!
ナイスバディにくらくらしたのは措いといて
(措いとくなよw)、
GLAY のコンサートのための練習、
なんか照れ臭そうでしたけど、
やっぱ、次男を蹴り飛ばすシーンと
包丁を研ぐシーンが絶品っしょ!!!

あの髪の動き、何度練習したんだろう、
と想像すると、楽しくなってきます。

にしても、長澤さんとなると、
こういう勝ち気な男っぽい女性の役が多いのは
なぜなんでしょうね(藁

とにかく松竹新喜劇を彷彿とさせるような
下町家族ドタバタ場面は最高でした。
そのイメージを、まさにちゃぶ台をひっくり返すように
ひっくり返そうとした力技には敬服します。

ああ、長くなりました。
こんな長い感想、あの感想用紙には
書ききれないよねー(藁

長文深謝。m(_ _)m


【追記】
上にアップした写真の中央にあるのは、
当日、ヲ仲間さんから
出張のおみやげだといってもらった
お菓子「ままどおる」です(藁

ごちそうさまでした。