童謡というのは、
硬直した官製唱歌(学校唱歌)に対抗して、
1918(大正7)年に創刊の
雑誌『赤い鳥』で展開された
子供のための歌の運動(童謡運動)の中で
作られたもの、
あるいはそれ以降に作られた
子供の歌のことを指します。

その最初の作品は、
西條八十作詞・成田為三作曲の「かなりや」
(♪唄を忘れた金糸雀[かなりや]は)
だというのが、通説です。

その「かなりや」に始まる
日本の童謡の流れをたどった1枚が、
藍川由美の『あの子はたあれ』です。

$圏外の日乘-あの子はたあれ
(キング・レコード KICC 211、1997.6.21)

右がジャケ裏。$圏外の日乘-あの子はたあれ(ジャケ裏)

一度は聴いたことのある
曲に混ざって、
初めて聴く
曲もあるのですが、
どれもこれも、
どことなく懐かしい。

初めて聴いた(と思う)
なかでは、
「リンゴのひとりごと」
(武内俊子作詞
 河村光陽作曲)が
お気に入り。

「♪わたしは真赤な
  リンゴです」と、
リンゴの一人称で通している歌詞や、
メロディーが転調する(?)あたりなど、
実に良かったです。

乱暴ないい方になるかもしれませんが、
「およげ!たいやきくん」の
先駆というような気もします。

このCDがすごいのは、
従来の童謡のレコードなら
取り上げないような
「少年探偵団のうた」
「月光仮面は誰でしょう」
「ゲゲゲの鬼太郎」
といった曲まで入っていること。

「少年探偵団のうた」は、
「♪ぼ ぼ 僕らは少年探偵団」
というおなじみの歌詞のものですが、
ここで歌われているのは
小川寛興による編曲盤だそうで、
伴奏者・花岡千春が弾く
ピアノ演奏での間奏部分が、実に良いです。

「月光仮面は誰でしょう」も、
小川寛興によるもので、こちらは作曲。
これもピアノ伴奏で歌うのを聴くと、
なかなか良いのです。

残響を効かせた感じの録音も
実にいい雰囲気で、
このCDは何度聴いたか分かりません。

ただ、残念ながら
現在は品切れ(廃盤?)のようです。
Amazon で検索してみたら、
定価の4倍の値段が付けられていて、
びっくりしたことでした。