圏外の日乘-わたしの台所
(光文社文庫、2006年6月20日発行)

先日の地震で本棚の上から
滑り落ちてきた本のひとつです。
これも何かの縁と思い
(オビの惹句にも魅かれたのですが)
目を通してみました。

親本は、暮しの手帖社から
1981年11月に刊行されました。

沢村貞子は、1908年生まれ
すなわち明治41年生まれの女優です。

その演技を、おそらく
テレビで観たことがあるとは思うのですが、
観てても俳優の名前までは意識しない頃に
観たんでしょう。

エッセイストとしても有名なんだそうですが、
読むのは今回が初めてだったりします(^_^;ゞ

斉藤工くんが、明治の人は動きに無駄がない、と
『春琴抄』のナビゲートDVDで言ってましたが、
まさにその通りという感じの内容です。

沢村さんは浅草生まれの下町育ち。
なので『春琴抄』と生活背景は異なりますが、
無駄のない生き方という背骨のところは、
やっぱり似ている感じが、しなくもなかったり。

毎日の家事が美容体操代わり、
という考え方には、
ちょっとハッとさせられたりしまして。

当方は、炊事はともかく、
掃除が家事の中でいちばん苦手な方ですが、
メタボ対策だと思えば乗りきれるのか、
と思ってみたり(苦笑)

炊事にしても、
この本に出てくるような料理は
とても無理ですけどね(当り前だw)。

炊事の話ばかりではなく、
良好な人間関係を保つための
老人力的な知恵も語られます。

あと、自分がいうのもなんですが、
沢村さんの可愛らしさが伝わってきます。
それは、よく女の子たちがいう
「可愛らしいお婆ちゃん」と
似たようなニュアンスかとも思うのですが、
70過ぎても、いわゆる女性らしい可愛らしさが
ことばの端々から感じられるのです。

そんな可愛らしいお婆ちゃんの知恵袋
みたいな傾向の本ではありますが、
「漬けもの談義」には
ぬか漬けの話が出てきますから、
長澤ファンなら
チェックしとくべきでしょうか(笑っ