今年の2月に亡くなった
泡坂妻夫(あわさか・つまお)の、
最後になってしまった短編集で、
「宝引(ほうびき)の辰 捕者帳」の6冊目です。

圏外の日乘-織姫かえる
(文藝春秋、2008年8月30日、1429円+税)

去年の8月に出ていたことに気づかず、
秋以降に買うという、ていたらくでした。
その上、今ごろ読み終わるという……

泡坂さん、ごめんなさいm(_ _)m

ちなみに「宝引の辰 捕『者』帳」
というのは、誤植ではありません。

念のためいっとくと、
一般的に「とりものちょう」は
「捕物帳」ないし「捕物帖」と表記します。

「者」の字を使って「捕者帳」という表記が
実際にあるのかどうか、寡聞にして知りませんし、
なぜこういう表記にしたのかも、知りません
(どこかのインタビューで
 答えてるかもしれませんけど)。

このシリーズ、
NHKでドラマ化されたこともあるので、
いちばん知られているかもしれません
(残念ながら自分は観たことはありません)。

知らない、観たことないの
残念づくしになりましたが f(^_^;
この短編集自体は
残念なところはひとつもありません。

表題作は七夕にちなんだ話で、
夫婦の情愛と手品のトリックとが
絶妙にブレンドされています。

が、個人的に好きなのは、
「願かけて」ですね。

しかし、デビュー当時の作品に比べると、
作りが超シンプルになりましたなあ。

読んでいるうちに何度も、
久生十蘭(ひさお・じゅうらん)の
『顎十郎(あごじゅうろう)捕物帳』が
連想されてなりませんでした。