『シネマ=チェンバロ』に入っている曲を使った映画、
ひとつを除いて観ていないと書きましたが、
その唯一、観ている映画が
アンジェイ・ワイダ監督のポーランド映画
《灰とダイヤモンド》(1957)です。

子供の頃、NHKで放送されたのを
なぜか、観た記憶があります。

ナチス占領下の民族抵抗運動を描いた映画です。
夢の島みたいなところで、追いつめられて死んでいく
主人公のバックに流れてた気が……

子供の頃って、どんな番組でも、
意味がよく分からなくても、時間があると
何となく観ちゃうもんじゃないですか
(違います? 自分だけかなあ)。

それでも102分もある映画を
全部観たとは思えないけどなあ。
エンディングだけ、たまたま観たのか……?

そのエンディングに流れるのが、
ミハウ・クレオファス・オギンスキ(1765~1833)の
ポロネーズ イ短調〈祖国への別れ〉です。

曽根さんの演奏を聴いた途端に、
すっごく懐かしい感じがしました。
聴いたこと、あるぞ! ていう感じかなあ。
錯覚かもしれないけど(藁

ライナーには
「かつてランドフスカが
 『パデレフスキに捧ぐ』と題されたアルバムに
 収められた曲で」
とあります(日本語少し変ですが【^_^;】)。

ワンダ・ランドフスカ(1879~1959)は
ポーランド出身のチェンバロ奏者です。

アルバム『パデレフスキに捧ぐ』は
1951年に出ており、もちろん今は入手不可。

ポロネーズ イ短調はその後、
ランドフスカの死後にまとめられた
アルバム『ポーランドのダンス』(1965)に
再録されました。

こちらは幸いCDに復刻されていて、
それが以下のものです。

圏外の日乘-ランドフスカのオギンスキ
(テスタメント SBT 1380、2005)

これをたまたま店頭で見つけたときは、
即買って、聴いてみましたが……う~ん(- -;

リマスタリング技術の問題なのか、
録音が今イチ。それに音が重い。

音が重いのは、たぶん
ランドフスカの使っているチェンバロが、
いわゆるランドフスカ・タイプといわれる
プレイエル社製のモダン・チェンバロだからです。

ランドフスカ・タイプのチェンバロは、
これは現代のピアノと同じく
鋼鉄製のフレームを持ち、
絃(ピアノ線)太く、張りを強くして、
大きい音を出せるようにした楽器で、
木製のフレームを持つ
歴史的チェンバロとは別物なんですね。

圏外の日乘-ランドフスカのチェンバロ

上の、インナージャケット裏表紙の写真だと
ペダルがありますが、
歴史的チェンバロには、
基本的にペダルはありません。
ペダルと同じ効果を出すためには
ハンド・レバーを使うようです。

映画に使われたのは、これなんでしょうかねえ。
ビデオ版しか出ていないし、とっくに品切れなので、
確かめようがない。

というわけで、
オギンスキを聴きたくなったときは、いつも
ブランシェ(フレンチ・タイプ)に基づく
レプリカを弾いている
曽根盤をかけています(^^)ゞ