前に、
ポリフォニー(多声部音楽)といえば
ルネサンス・バロックの音楽、という知識を得た
と書きましたが、よくよく考えてみれば、
ポリフォニー即バッハ、というわけでもない。
CDを買う前に、ポリフォニーについての
参考書を読んだような気がしてきました。
それが以下の2冊です。

(右:『中世・ルネサンスの音楽』講談社現代新書、1977.2.20
左:『バロック音楽』講談社現代新書、1972.11.20)
著者は2冊とも皆川達夫。
いずれも現在は、講談社学術文庫で買えます。
手許の本は、『バロック音楽』の方が
1991年11月15日発行の36刷、
『中世・ルネサンスの音楽』の方が
1991年12月27日発行の15刷です。
最初に買ったレオンハルトのCDは
1992年に発売されたものですが、
今となっては、本が先かCDが先か、覚えていません
(たぶん本が後でしょう)。
刷り部数でも分かる通り、
『バロック音楽』の方が売れていますけど、
『中世・ルネサンスの音楽』の方が、
簡にして要を得た
(つまりは、安価でページ数も少なく読みやすいw)
類書が少ないだけに、入門書として貴重です。
ポリフォニーの説明は両書ともにありますが、
バッハはいってみればポリフォニーの完成者であり、
初期ポリフォニー音楽とは、やはり微妙に違う、
ということが、2冊読むと分かります。
バフチンが、ポリフォニー小説といった時に
イメージしていたものとして、しっくりくるのは、
中世・ルネサンス期のポリフォニー音楽です。
ポリフォニー音楽と対置されるのは
ホモフォニー音楽で、これは
ひとつの声部が主旋律となり、
それに和音が重ねられるという、
乱暴ないい方をすれば、歌と伴奏みたいな関係で、
現在でもよく聴かれるスタイルの音楽です。
それに対してポリフォニー音楽というのは、
ソプラノ・アルト・テノール・バスという四声部が、
それぞれ対等に絡みあっていくスタイルで、
バロック以前には、四声部がそれぞれ別々の歌詞を歌う
というスタイルもありました。
輪唱(カノン)で、後から入る歌い手が
全く別の歌詞を、違うメロディーで歌うこと
(それじゃカノンじゃないんだけどw)を、
想像してみてください。
4人の歌い手が次々と入っていき、
同時に歌う状態になった時、その時に聴くものが
ポリフォニー音楽だと思ってみてください
(ポリフォニー音楽の場合、
同時にバラバラの歌詞を歌い出します)。
別の歌詞を歌っていて、それでいて統一感がある
ひとつの音楽として聴こえるわけです。
バフチンは、さまざまな登場人物の思想が
一人の作者によって、
どれが一番大事だというふうにならず、
最終的にひとつに統一されることもなく、
バラバラなまま提示される小説を
イメージしていたわけです(だと思います)。
ちょうど祭の夜に、
夜店を冷やかしながら歩いていると、
いろいろな声が聞こえてくるようなものです。
それぞれの声のざわめき、それらが全部一緒になって
総体として、祭の夜(という作品)を
作りあげているわけです。
だからバフチンは別のところで、
カーニヴァル小説という概念も出しています。
一般的に小説は、作者に言いたいことがあって、
その作者のテーマに合わせて、
登場人物を創造し、ストーリーを組み立てて、
テーマがもっとも際立つようにプロットを立てます。
それは音楽でいえばホモフォニー音楽のようなものです。
それに対してポリフォニー小説というのは、
作者のテーマに登場人物が従属するのではなく、
登場人物がそれぞれ自分の世界観を持っていて、
それをそのまま提示する小説、
といった感じでしょうか。
バフチンがポリフォニーという比喩を使ったのは、
そういうことかなあと思っています。
が、そういう、めんどくさい話はともかく、
皆川達夫の本を読んだことも手伝って、
CDを買い出してすぐに、
バフチンとかは、もはやどうでもよくなって(藁
中世・ルネサンスからバロックにかけての音楽に
ハマっていったのでした。
前にも書いたように、そのきっかけが
レオンハルトの2枚のCDだったのです。
ポリフォニー(多声部音楽)といえば
ルネサンス・バロックの音楽、という知識を得た
と書きましたが、よくよく考えてみれば、
ポリフォニー即バッハ、というわけでもない。
CDを買う前に、ポリフォニーについての
参考書を読んだような気がしてきました。
それが以下の2冊です。

(右:『中世・ルネサンスの音楽』講談社現代新書、1977.2.20
左:『バロック音楽』講談社現代新書、1972.11.20)
著者は2冊とも皆川達夫。
いずれも現在は、講談社学術文庫で買えます。
手許の本は、『バロック音楽』の方が
1991年11月15日発行の36刷、
『中世・ルネサンスの音楽』の方が
1991年12月27日発行の15刷です。
最初に買ったレオンハルトのCDは
1992年に発売されたものですが、
今となっては、本が先かCDが先か、覚えていません
(たぶん本が後でしょう)。
刷り部数でも分かる通り、
『バロック音楽』の方が売れていますけど、
『中世・ルネサンスの音楽』の方が、
簡にして要を得た
(つまりは、安価でページ数も少なく読みやすいw)
類書が少ないだけに、入門書として貴重です。
ポリフォニーの説明は両書ともにありますが、
バッハはいってみればポリフォニーの完成者であり、
初期ポリフォニー音楽とは、やはり微妙に違う、
ということが、2冊読むと分かります。
バフチンが、ポリフォニー小説といった時に
イメージしていたものとして、しっくりくるのは、
中世・ルネサンス期のポリフォニー音楽です。
ポリフォニー音楽と対置されるのは
ホモフォニー音楽で、これは
ひとつの声部が主旋律となり、
それに和音が重ねられるという、
乱暴ないい方をすれば、歌と伴奏みたいな関係で、
現在でもよく聴かれるスタイルの音楽です。
それに対してポリフォニー音楽というのは、
ソプラノ・アルト・テノール・バスという四声部が、
それぞれ対等に絡みあっていくスタイルで、
バロック以前には、四声部がそれぞれ別々の歌詞を歌う
というスタイルもありました。
輪唱(カノン)で、後から入る歌い手が
全く別の歌詞を、違うメロディーで歌うこと
(それじゃカノンじゃないんだけどw)を、
想像してみてください。
4人の歌い手が次々と入っていき、
同時に歌う状態になった時、その時に聴くものが
ポリフォニー音楽だと思ってみてください
(ポリフォニー音楽の場合、
同時にバラバラの歌詞を歌い出します)。
別の歌詞を歌っていて、それでいて統一感がある
ひとつの音楽として聴こえるわけです。
バフチンは、さまざまな登場人物の思想が
一人の作者によって、
どれが一番大事だというふうにならず、
最終的にひとつに統一されることもなく、
バラバラなまま提示される小説を
イメージしていたわけです(だと思います)。
ちょうど祭の夜に、
夜店を冷やかしながら歩いていると、
いろいろな声が聞こえてくるようなものです。
それぞれの声のざわめき、それらが全部一緒になって
総体として、祭の夜(という作品)を
作りあげているわけです。
だからバフチンは別のところで、
カーニヴァル小説という概念も出しています。
一般的に小説は、作者に言いたいことがあって、
その作者のテーマに合わせて、
登場人物を創造し、ストーリーを組み立てて、
テーマがもっとも際立つようにプロットを立てます。
それは音楽でいえばホモフォニー音楽のようなものです。
それに対してポリフォニー小説というのは、
作者のテーマに登場人物が従属するのではなく、
登場人物がそれぞれ自分の世界観を持っていて、
それをそのまま提示する小説、
といった感じでしょうか。
バフチンがポリフォニーという比喩を使ったのは、
そういうことかなあと思っています。
が、そういう、めんどくさい話はともかく、
皆川達夫の本を読んだことも手伝って、
CDを買い出してすぐに、
バフチンとかは、もはやどうでもよくなって(藁
中世・ルネサンスからバロックにかけての音楽に
ハマっていったのでした。
前にも書いたように、そのきっかけが
レオンハルトの2枚のCDだったのです。