
(光文社文庫、2007年9月20日、619円+税)
必要があって水上勉のミステリを、
先月下旬から、まとめて読み続けています。
水上勉は、いわゆる純文学の作家で、
1960年代前半に、
社会的事件を背景としたミステリをたくさん書いてます。
その中では、水俣病を背景とした『海の牙』(1960)とか、
青函連絡船事故を背景とした『飢餓海峡』(1963)とか
(こちらは映画やテレビドラマにもなっています)が
有名(のはず)なんですけど……
ミステリ長編だけで30作ほどあるんですが、
現在までに20数作読み終えてみて、
今、比較的手に入りやすいものの中で
いちばん面白かったのが、上の作品でした。
初版は1962(昭和37)年に出てますから、
今の(若い)読者には、風俗や人情など、
ちょっと違和感もあるかもしれませんけどね。