圏外の日乘-奇蹟の表現

『プラ・バロック』の書き手のデビュー作です。
『プラ・バロック』が面白かったので、買ってみました。

古本ではなく、新刊書店で購入したんですが、
2005年刊行本なのに、初版本でした。ラッキー♡

かつて、裏社会の仕事の結果、妻子を失った男シマが、
暗殺者との戦いで傷ついた身体を
サイボーグ化して生き残り、
でも、生きるよすがを失ったまま、
ある修道院の警備員として雇われ、
そこで少女ナツと出会います。

移植臓器をめぐって児童誘拐が起きている世界が舞台で、
「イエスの心臓」をめぐる騒動に
シマが勤める修道院が狙われる。
修道院と、そこが経営する孤児院の少女ナツを守るために
シマが命がけで戦う、というお話。

カバー裏のオビで高畑京一郎が
「まさにライトノベル版『レオン』!」と書いてますが、
当の映画を観たことのない私には判断できません。
ただ、気の強い美少女と心優しき野獣、という図式は、
どこかで観たような聞いたような気がしないでもないw

キリスト教的モチーフにはちょっと感心しましたが、
押井守のアニメなどでお馴染と、いえなくもない。

だから読んでいて、アニメやまんがの活字化作品、
という印象は拭えませんでしたが、
そうしたことを気にしなければ、
一定程度の満足を与えてくれる、面白い小説でした。

なお、シマ&ナツの物語は
シリーズ化されているようです。

●データ
題名:奇蹟の表現
作者:結城充考
版元:メディアワークス(電撃文庫)
発行:2005年2月25日