
オビのあおりの文句がすごいですけど、
決して羊頭狗肉というわけではなく、
ホントに面白かったです。
県警の機動捜査隊に所属する女性刑事クロハは、
殺人事件の現場から外されて、
所轄が不審なレンタル冷凍コンテナの開く現場の
立ち会いに回される。
ところがコンテナを開いてみれば、そこには
十四人もの男女の冷凍死体が転がっていた……
この発見をきっかけに事件の背後を調査するクロハは
恐るべき悪意の存在に直面するわけですが、
このクロハの調査の経緯が面白い。
また、ストーリーやプロットも、よく練られていて、
最後までページを繰る手を止めさせません。
『羊たちの沈黙』の影響を感じさせるところもありますけど、
そのままではなく、うまく咀嚼されていて、
素直に「うまいなあ」と思わせられる小説でした。
第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作ですが、
結城充考(ゆうき・みつたか)は、この受賞の前に
第11回電撃小説大賞の銀賞を受賞していますから、
うまいのは当り前といえるかもしれないんですけどね。