変なおじさんは自転車に乗ってやってきた。

 変なおじさんは「おじさん」というよりどちらかというと「おじいさん」に近いくらいの年齢に見えた。服装はスーツをしっかり着て、ネクタイをしめているけれど、なぜかあんまり似合っていなくて不自然に見えた。背はそんなに高くないけれど、ものすごくガッシリしていて柔道でもやっているような体系だった。髪型は整髪料を使ってオールバックにしていて、やたらと角張った顔に好奇心旺盛そうな目をしていた。

 変なおじさんが差し出した名刺には「元〇〇〇〇大学教授 高野〇〇」と書かれていた。変なおじさんは名前も少し変わっていた。大学教授、という肩書はまだ小学生の私にはものすごく偉そうに見えた。でもなんで「元」なんだろう?玄関にあがったおじさんは、私にこう言った。

「俺は前橋で塾を開いている者だ。君は来年から中学生だろう?塾に入らないか?」(続く?)