ロック自叙伝 その196
「Another Day」は単なるヒット曲ではない。それは人間の経験
の深い反映であり、普通の人が経験する毎日の闘争を表している。
この曲は、人生において、多くの人が自分が持っているものよりも重要なものを求めていることをリスナーに教えている。それは、人生には毎日仕事に行って家に帰るよりも意味のある何かがあり、人は目に見えず、手応えのないものは重要ではないと感じることがあるという信念を訴えている。
マッカートニーにとってこの曲は、日常生活の葛藤に打ちのめされた多くのファンの感情を表現する方法だった。この曲は、聴き手への贈り物であり、聴き手は一人ではない。自分も同じような経験をしたのだということを伝えたかったのだろうか。
「Another Day」は、一人暮らしをし、平凡な日常に閉じ込め
られ、周囲の街の色を消し去る女性の物語を語っている。
彼女は一日中働き、家に帰ると誰もいない家があり、代わりに「呪縛を解く」のを手伝ってくれる「夢の男」が現れる。
レコーディングセッションのドラマーであるデニー・セイウェルは、この曲を「ニューヨークのエレノア・リグビー」と表現するのが最も正確だろう。と言い切った。
それにしても、ぱっと聴くと軽やかなポップ・ソングなのに、歌の内容は「けっこう辛いはなしやな。」と感じる。