リハビリテーション・ミュージアムⅩⅤ
『キリスト昇架(しょうか)』( TheElevation of the Cross)は、フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスにより1610年から1611年にかけて描かれた豪壮な絵画です。
中央パネル、左翼パネル、右翼パネルの3つの部分から構成される三連祭壇画であり、三面鏡のように開閉できるようになっている。中央パネルの寸法は、縦460 cm、横340 cmである。左翼パネルと右翼パネルの寸法は、ともに縦460 cm、横150 cmである。
筆者がこの絵を眼にしたとき、即座に思い浮かべたのがカルピスまんが劇場で観た『フランダースの犬』のラストシーン。
「パトラッシュ疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ・・・パトラッシ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『フランダースの犬』の舞台は19世紀、ベルギー北部フランドル地方。現在では証券取引所を持つアントワープに隣接するホボケン が舞台となった村のモデルと考えられています。
作者のウィーダはこの作品を執筆する前年にアントワープを旅行で訪れてホボケンにもやって来ており、寒村のこの村にまだ当時の領主、オラニエ公ウィレムの風車小屋が存在していたことが1985年にアントワープ市観光局のヤン・コルテールによって突き止められ以来この発見から物語に登場する風車小屋はこれをもとに描写されたものと見られています。
さらに物語に登場するアロアのモデルと思しき12歳の娘が領主にいたことや、物語の最後にネロを葬った教会が現存することも確認されている。これらのことは1985年(昭和60年)3月22日付の『朝日新聞』夕刊で風車小屋の写真とともに報道されました。
しかしコルテールの言葉によると、ネロが葬られた教会はあっても100年前のことのため墓所ばかりは現存していないと言う。
カルピスまんが劇場はフィクションだと思っていたが、丸っきりの作り話ではないと識って、ルーベンスの絵が与えたインパクトの大きさに感銘を受けました。