後ふたつねると甲辰の相場
2023年も最後の取引を迎えた東京市場。ドル円は仲値に向けては本邦実需の買いが断続的に観測されるとNY時間の高値141.59円を上抜けて一時141.67円まで値を上げました。
欧州時間は、直近のサポートレベルとして意識されていた14日の安値140.97円を下抜けたことから、米系短期筋が売り仕掛け。
目先のSLを巻き込むかたちで下げ足を速め、一時140.65円まで値を下げました。
NY勢が参入して141.14円まで買戻されたものの欧州時間の安値を下抜け再び突っ込んで売り込むことになると140.25円まで下落。ただ、LDN16時(日本時間翌1時)のLDNフィキシングで月末絡みのまとまったドル買いが持ち込まれたほか、米7年債入札の結果が、何と2.2bpのテールと相当悪い結果だったことが分かると141.59円まで踏み上げられることになっています。
いずれにしても、昨日は来年からの円高予想をベースにしている要するに、「早期の日銀の利上げとFRBの利下げ」といった、ある意味かなり分かりやすい、大衆迎合的な見通しによる動きが一部で見られたわけですが、実際には「日米の金融政策変更に対する行き過ぎた期待感」が引き起こす市場心理が影響しています。
それからトルコのほうですが、先日最低賃金が来年1月から49%引き上げられることが発表されました。
この49%という数字は凄い値上げに感じますが、現在のトルコの60%台のインフレ率を鑑みると、トルコ国民側からするとまだまだ足りないという感じですね。
これはこれでいいのですのですが、やはり賃上げするとどうしてもインフレ率は上昇しますので、トルコリラにとっては諸刃の剣となりそうです。
それで早くもこの賃上げによるインフレ上昇予想が出ており年間消費者物価指数が最大5% 上昇する可能性があるそうです。
こういう状況ですので、トルコ中銀の利上げ打ち止め観測は市場から敬遠されそうですね。
そのトルコリラの状況ですが、中東リスクに加え、インフレ懸念が加わり年末のトルコリラは弱々状況が続いています。
トルコリラ円は概ね4.74円から4.79円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.74円で前日終値の4.79円からは0.05円の円高リラ安。
ドル円は12月19日の日銀金融政策決定会合で金融緩和政策の維持を決定したことによる円売りで12月19日夜に144.95円へ上昇したが円売り一巡から下落に転じ、米国の来春利下げ確率が上昇する中でドル安が進んだことで12月22日に141.87円まで下げ、その後は142円台での持ち合いに入っていたが、27日深夜から28日早朝にかけてドル安が勢いを増したことで持ち合いを下放れして28日午前には141.40円を割り込んでいました。
リラ円は12月19日夜の円安局面で4.98円へ上昇したところから下落に転じ、22日午前には4.85円へ史上最安値を更新したが、26日午前に4.83円まで一段安してから買い戻されて27日早朝には4.90円まで戻していました。
しかし4.90円前後では戻り売りが厳しく早々に失速し、27日深夜からドル円が一段安したところで4.81円へ史上最安値を更新した。 28日午前序盤には一時4.80円を割り込んでおり、円高継続とリラ安継続により史上最安値の更新を繰り返している状況です。
エルドアン大統領は「金利は悪」としてインフレ高進中に利下げを強行するなど非伝統的な政策を繰り返したことでリラ暴落を再三招いてきましたが、5月末に再選した後は、ウォール街出身の銀行家エルカン氏を中銀総裁に抜擢任用して、経済政策で評判の高かったシムシェキ氏を財務相に充ててインフレ抑制のための利上げ容認。財政再建のための増税を実施、リラ安抑止よりも外貨準備高増加による外資の信頼回復を目指してきた。
金融政策の正常化が続いたことで、大手格付け機関による評価も上がり海外からの投資マネーの流入も進んできたが、リラ安はまだ解消できずにいます。
12月21日にトルコ中銀は来年のインフレ鈍化予想とともに現在の利上げサイクル終了が近いとの認識を11月会合に続いて示したが、市場はまだ利上げ不足とみている。
トルコリラが強気転換するには、4.85円超えからさらに続伸するような反騰が必要と思われる。このままでは弱気サイクル入りとして1月1日午前から1月3日午前にかけて急激な下落が想定されます。メキシコペソもドル円の下落の煽りを受け、8.29円まで右肩下がりのまま幕切れ、口座維持率は辛うじて1203%と尻すぼみの2023年と相成りました。
年初来の口座維持率は795%から400%の上昇は上出来というべきだが、メキシコペソの健闘とクロス円の下落に伴う為替差益の影響であり、筆者本業のスワップポイントは2,371,000から4,477,000へ年額で2,176,000ポイントの収益決算となりました。![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230425/14/oldrock4040/e7/87/j/o0750042215275297551.jpg?caw=800)
さて、来年の日銀に対しては、新年早々からのマイナス金利解除への思惑が未だに燻ぶっていますが、「春闘を見極めてから、十分余裕を持って、米国の金融政策に縛られることなく」検討する政策変更は、早くても展望レポートが公表される4月会合辺りとみるのが整合的あって、マイナス金利解除がそのまますぐに利上げに繋がるわけでもないことも明らかです。円高を予想する根拠にバイアスがかかっていることがわかります。
また、FRBについては更に市場の利下げバイアスがかかったまま
3月会合から毎会合の7回の利下げを織込んでいるような金利市場において、リスクがあるとすれば、明らかに、予想以上に景気が強いままで、利下げの必要性が薄れてくるといった状況にあります。
両サイドとも行き過ぎた市場心理の状態のまま、年末を迎えるといった現状を認識しておきたいところです。来年はカレンダー的には非常に分かりやすく、週末3連休後から甲辰の相場が始まります。